24年映画は映画館で139「ありふれた教室」学級崩壊のさまが真に迫るドイツ映画 | con-satoのブログ

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 ドイツ映画「ありふれた教室」の舞台は中学校。主人公は若い女性教師。彼女はこの学校に赴任したばかり。意欲まんまん。しかし、学校には問題も多い。

 ファーストシーン、窃盗疑惑を生徒に追及する。疑われたのはアラブ系の生徒。親が乗り込んで来て、いかにも人種偏見があると彼女を責める。さらに大きな事件が起こって、という展開。

「ありふれた教室」★★★★★

 今年のアカデミー賞国際映画賞ノミネート作品。受賞した「関心領域」は未見なので、なんとも言いがたいが、話題になったフランス映画「落下の解剖学」や韓国人が主人公の「パスト・ライブス」よりは遥かに良く出来ていた。99分に凝縮された人間の本音がぶつかるドラマ。

 主人公の女性は生徒のためにと思っているのに、それがどんどん誤解を生み、追い詰められて行く。

 悪意がささやかな善意を押し潰していく怖さ。それぞれが自分の権利を守る、という、ある意味、当たり前のことをしているはずなのだが、その権利がぶつかる。

 それが他者を排除するという行為になる。それを自分の権利の行使だから当然と、何の疑問もない怖さが見事に描かれている。

 ひとつだけ残念なのはラスト。ルービックキューブのシーンで終われば、鮮やかラストシーンだったのに。蛇足の典型。それでも必見の映画。