今日、新作が公開される濱口竜介監督。インタビューで日本ではアート映画冷遇の発言に違和感 | con-satoのブログ

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 今日から新作「悪は存在しない」が公開される濱口竜介監督。前作「ドライブ・マイ・カー」がアカデミー作品賞候補にあがるなど世界が注目する映画監督。


 新作の宣伝のために、多くのインタビューを受けている。その発言の中に気になるものがあった。

 「日本では(どんなに世界で高い評価を受けても)独立系の映画はヒットしない。日本にはアート映画のマーケットがない」「フランスなどでは是枝監督の作品などもヒットする」というもの。

 いつもありがちな日本映画界への批判。「PERFECT DAYS」でヴェンダースの映画に出た役所広司も、日本映画の製作体制への批判を口にしていた。

 もちろん日本映画の製作現場の状況はベストだとは思わない。でも、いつも決まったように「

日本映画(界)はダメ」というのはやめて欲しい。

 日本アカデミー賞などを見ても、東京国際映画祭を見ても、日本の文化の中で映画がまともな文化として扱われていないことは明白。

 日々のニュースなどでも、映画は芸能の一部の扱い。それでも、日本アカデミー賞でも東京国際映画祭でも内部の人たちは映画を愛しているなということを実感する。

 その点、フランスでは確かに映画が文化として人々にリスペクトされている。しかし、そんなフランスでもアート映画がこぞってヒットするなどということはない。

 ゴダールは生前「フランスで自分の映画を観てくれるのは10万人程度。日本にだってその程度のファンがいる」と答えていた。

 濱口監督はフランスにはアート映画の観客がたくさんいると言っていたが、決して、そうではない。フランスでもヒットする映画は娯楽映画。ただし、日本みたいにアニメ一色ではない。

 隣の芝生は青いというけど、まさに、日本はダメというのは、そういう発言。少なくとも東京は多くの国、ジャンルの映画を観ることができる優秀な映画都市だと思う。

 内部の人なりの不満はわかるけど、それを発信すると、外部の人(日本映画を見ない人)は「やっぱり日本映画ってダメなんだ」と勝手に思い込む。それより、いかに日本映画が健闘しているか、自分たちが努力しているかを伝えるべき。