高峰秀子のセンスが好きだなと再確認するエッセイ「旅は道づれアロハ・オエ」 | con-satoのブログ

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 高峰秀子生誕100年ということで、さまざまな場所でアニバサリー行事が行われている。それに乗じてというわけでないけど、古本屋で見つけた昭和57年(1982年)に刊行されたエッセイ本「旅は道づれアロハ・オエ」を読んだ。

 高峰秀子は女優引退前後から年に数ヶ月、ハワイで過ごしていたということを最近知った。そのハワイ生活を綴ったのが、このエッセイ。

 ハワイ好きなので(今はそれほどでもなくなったけど)あの時代、高峰秀子はどんなハワイ滞在をしていたのかも気になった。

 旅エッセイというより、海外生活エッセイだった。夫の松山善三と交互に原稿を書いている。エッセイとしてパンチがあってセンスがいいのは、脚本家の夫より、女優だった嫁の方。 


 松山善三のエッセイは生真面目。その点、嫁、秀子は夫を「どっこい」と呼びユーモア満点。夫は妻を買い物していれば機嫌がいいと、ちょっと上から見ている。

 妻はそんな夫の生真面目さを鼻で笑いつつ、夫には従っている。高峰秀子は5歳の時から子役として働き、学校へ行くことがなかった。勉強する機会がまったくなかったというが、彼女のエッセイを読んでいると地頭の良さが垣間みえる。それが魅力。

 逆にいえば学校には行かなかったけど、映画の現場で社会をリアルに感じ学び取ったということ。なのでハワイでの生活にこだわりはあるけど、気取りはない。

 バスに乗り、食材を買いにダウンタウンに行く。女優なら、まずホノルルのダウンタウンなどに行かないだろうし、ましてバスには乗らないだろう。

 ひとりで中華料理屋に入り、地元民に交わってマーケットで野菜や魚介類などを買って、コンドミニアムで料理する。そんな平たい目線がエッセイに輝きを与えている。高峰秀子かっこいい。