「止められるか、俺たちを」続編を見て、思い出す素顔の若松孝二監督のこと① | con-satoのブログ

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 井上淳一が監督した「青春ジャック」。サブタイトルは「止められるか、俺たちを2」。若松プロの創成期を描いた前編の続編。

 舞台になるのは若松監督が作った映画館、名古屋のシネマスコーレ。東出昌大演じる支配人。そこに通う映画好きの高校生の姿が描かれる。この高校生が監督の井上淳一。

 この映画を見て、新宿のバーでご一緒した若松監督のことを思い出した。若松さんも故人なので、今なら書いてもいいかなと思うようなエピソード。

 この映画にも出てくる赤塚不二夫さんとのこと。70年代日本赤軍を支援するために渡した3億円。このお金の出元が赤塚不二夫さんで、その3億円を運んだのは若松監督だったそうだ。若松監督曰く「松田政男とか、いろんなヤツが俺が渡したというけど、赤塚さんから預かって運んだのは俺だよ」。当時、赤塚さんは講談社や小学館、集英社など大手の仕事をしていたので、自分が前面に出ると、彼らに迷惑がかかるので、そこはよろしくと言われたらしい。赤塚さんと若松さんの共通点は警官嫌い、反権力。

 「おくりびと」でアカデミー賞に輝いた滝田洋二郎。ピンク映画を撮っていた滝田監督。そのことは、この映画にも出てきた。

 脚本家、荒井晴彦が編集長を務める「映画芸術」では「おくりびと」をその年のワースト映画に選出。これに若松さんは怒っていた。「荒井はやりすぎだよ、これで滝田がアカデミー賞でも獲ったら、荒井はどうするんだ」と。


 憤りながらも親愛の情がどこかにあるなと感じた。本当のところ、二人の関係はどうだったんだろうか。

 若松さんの「連合赤軍」が公開前から大評判になっていた時、偶然、赤坂駅で荒井さんに出会った。その時「若松さんの新作、すごい評判じゃないですか?」と振ったら「誰も若松孝二の「連赤」に文句が言えないだろう」とシニカルに笑っていた。