名女優シャリー・マクレーン、堂々の映画デビュー作ヒッチコックの珍作「ハリーの災難」。 | con-satoのブログ

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 1955年に公開のヒッチコック監督作品「ハリーの災難」がBSで放映された。当時ヒッチコックは絶頂期。同じ年にはグレース・ケリーの「泥棒成金」を発表。前年には「裏窓」。翌年には「知りすぎていた男」と、代表作を連打していた時代。

 しかし、この「ハリーの災難」はヒッチの系譜からすると「珍作」といっていい映画。この時代のヒッチというとケイリー・グランドやグレース・ケリーに代表されるように美女美男のスターを主役に据えていた。主演は英国に舞台俳優エドマンド・グウェンとジョン・フォーサイス。決して派手なキャリアのあるスターたちではない。そんな地味なキャストの中で記憶されているのは、この映画が、のちの大女優シャリー・マクレーンのデビュー作であること。数多くの女優賞を獲得した大女優。なぜかアカデミー賞には縁がなく受賞したのは28年後。この時「25年以上も待ったのだから、私の受賞は当然」といって笑わせた。

 話はアメリカの片田舎。ここでハリーという男の死体が見つかる。周囲の人々は誰かのせいにしようと、その死体を掘り起こしたり、埋めたりするという、ちょっと馬鹿げたストーリー。

 このコメディ風な展開が当時のヒッチコックには珍しい。しかし、ヒッチ映画ってサスペンスの中に、ちょっとしたユーモアがある。英国的ユーモアが土台にある。この映画はそんなユーモアさを前面に押し出した作品。

 これが映画デビューとは思えないほどマクレーンはすでにマクレーンになっている。仏頂面でおかしなことをする。考えようによっては、ヒッチらしいヒッチ映画って、こんな映画かもしれない。