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COMPASSUS@shanghai

上海老房子生活の中で魅了されたモノ、デザイン
風景、お仕事、旅行など、日々を記録しています。



秋晴れの昼下がり。
上海の旧フランス疎開地と言えば、このプラタナスのトンネル。
樹齢100年以上の古木もあると言われる立派な並木道。
少しづつ葉っぱが紅葉してきたけれど、本格的に落葉するのはまだ少し先です。

プラタナス(学名: Platanus)、スズカケノキ科スズカケノキ属。
プラタナスの語源は、ギリシャ語の platys(広い)から。大きな葉に由来する。

良く街路樹に使われる樹木ですが、上海の街にビッタリな街路樹だと思います。
大きな葉っぱが日陰を作って、厳しい夏の暑さから救ってくれるし、
底冷えのする冬には、その大きな葉っぱを潔く落として、ささやかな日向を作ってくれる。
とは言え、大量の落ち葉の処理は大変で、早朝から働く掃除夫さん達に感謝です。




この通りは、我が家の近所の乌鲁木齐路(ウルムチルー)。
このゴロの良い名前の響きが好きで、上海に来てからすぐに覚えた通り。
老房子のお屋敷も多く、門番の大きな狛犬が歩道にせり出していたり。




プラタナスの足元のグレーチング。
よく見ると、中国らしいデザインがされたものも見かけます。




そのまま散歩を続けて、太原路(タイユエンルー)での一コマ。
大きな亀を散歩させているおばさんと、その向こうに高齢のおばあさんを支えるおじさん。

こういうなんとも微笑ましい光景に、心が和む毎日です。
旧フランス租界エリアに広がるプラタナスの下の風景でした。




上海在住の日本人で、老房子(上海の古い洋館)好きの方は結構いらっしゃいますが、
私の周りの老房子好きの友人達は、統計上、猫好きの方が多い気がします。

そして、老房子と猫は、なんとも絵になるのです。




ウチにも一匹の白猫がいます。
この老房子に引っ越してすぐに、中国人の友人が捨てられた子猫4匹を保護して、
そのうちの一匹を譲り受けたのです。
私の老房子生活と猫は、切っても切れない対のものになっています。




夏場、彼女のお気に入りは、子供用の竹椅子。涼しくて快適そう。
この椅子は、昔から作られているもので、上海の道端でも時々見られますが、
釘等を一切使わずに、すべて竹のみで組み立てられています。
なかなか、素朴で素敵なデザイン。大人が座ってももちろん壊れません。
瑞金路(ルイジンルー)の小さなローカルの竹屋さんで購入しました。

色々な表情を持つ椅子は、お部屋のインテリアのちょっとしたアクセントにもなります。




彼女の背後にある中国アンティーク調の椅子は、近所の中古家具屋さんで安く購入したもの。
元は黄みの強い木色でしたが、2013年の再改装時に、
自分で白くペイントしてイメージチェンジさせてみました。

老房子と猫がなんとも絵になるのは、両方とも、纏う時間の流れが、
ゆったりと優雅にみえるからかもしれません。





今回の旅で一番感動したのが、ここ、鈴木大拙館。

鈴木大拙先生は、明治生まれの仏教哲学者で、禅についての著作を英語で何冊も出し、
日本の禅文化を海外に広く伝えられた方です。
ここは、そんな彼の考えを知り、理解を深め、自ら思索する場として作られた空間。
建築は、谷口吉夫先生。
どちらも金沢出身ということで、とても興味深く感じました。




この建物は、3つの棟と3つの庭から構成されており、回廊で繋がっています。
回廊に沿って歩いていくと、建築によって切り取られた美しい景色に次々と遭遇し、
その度に心の内側がどんどん静かに澄んでいくよう。
簡素な建築壁の水平ラインが、背景にある山々の緑の勢いをより引き立たせています。




初めて英語を使って、日本の禅「ZEN」という考え方を世界に広めた鈴木大拙先生。
観覧者の多くが、欧米人だったのも納得です。
現代的な建築ですが、どこか古いお寺の縁側を思い出します。




「水鏡の庭」と名付けられた空間。
何分間かに一度、この池の一カ所から泡がボコッと出て、水の波紋が広がっていきます。
水盤が一瞬で枯山水庭園のように。
静寂な空間の中に、広がっては消えていく儚い水の波紋。
時の流れがいつもよりゆっくりと感じられ、意識が自分の内側へと向けられていきます。

禅の思想を現代的空間で表現したこの建築に、本当に感動しました。
周りの自然と一体となってこそ完成される建築。
自然を征服するのではなく、自然と共に生きる感覚、
日本文化の素晴らしさを改めて実感しました。
この日本の歴史が静かに大切に保存されている金沢という街が生んだ、
二人の先生の作品に触れることが出来て、とても良い旅となりました。




2泊した金沢白鳥路ホテルをあとにして、金沢駅へ。
2011年に「世界で最も美しい駅」の一つに選定された駅です。
タクシーの運転手さんが、嬉しそうに解説してくれました。
正面の印象的な大きな門は、伝統芸能に使われる鼓をイメージした「鼓門」。
天井のガラスドームは、金沢を訪れる人に差し出す雨傘をイメージした「おもてなしドーム」
地元の人達が誇りをもてる駅がある、そんな街はやはり素敵ですね。
来年には、いよいよ北陸新幹線が開業します。
この素晴らしい文化を継承している日本の街を、
沢山の方々が気軽に観光できるようになることに、私も嬉しく思います。


さて、金沢の街を堪能したあとは、特急サンダーバードに乗って40分ほどで、方津山温泉へ。
霊峰白山があり、湖畔に宿が佇む歴史ある温泉街です。



最後の一泊に選んだのは、老舗旅館の森本。
久しぶりの畳の感触。落ち着きます。




お部屋からも大浴場温泉からのビューも、見渡す限りの湖と空。
広大な景色に、旅の疲れが癒されていきます。





旅の最後の夕食は、温泉宿ならではの懐石料理。
加賀の食材を使った美しい料理に心も華やぎました。

翌日、旅館から小松空港までタクシーで15分。
ストレスなしの移動で、スイスイ上海まで戻って参りました。

金沢旅行、日本文化を満喫出来た素晴らしい旅となりました。
すべてに感謝です。