あるテレビディレクターの「CMの劣化」というテーマのネット記事をもとに書いてみました2 | 続きは、CMのあとすぐ!

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インターネットの企業サイトや、動画サイトにあるテレビCM動画を中心にご紹介しながら、CMや動画、CMソングについて、私独自の視点でいろいろと感想を述べているブログです。

この記事は、この記事は、2022年9月17日に更新の、あるテレビディレクターの「CMの劣化」というテーマのネット記事をもとに書いてみました1の続きの内容となります。

 

今回の記事は、その続きとなります。

 

本来順番としては、最初にテレビディレクターの記事で、その次が私の私見の記事という感じがしなくもないものの、

 

では、冒頭のリンク先の記事にあった1の続きとして、今回は2ということで、テレビディレクターの男性。

 

仮にここではY氏とさせていただくことで記事を進めていきたいと思います。

 

◆新型コロナウイルスの影響でCMが悪い意味で変化 流せるCMがどんどん減っていくことに

 

まずY氏は、ネット記事でCMについて次のように述べていました。

 

「受信料を徴収しているNHKや、動画配信サービスVOD(ビデオ・オン・デマンド)を除き、ほとんどのテレビ番組が、CMをベースに制作されている。

 なぜならテレビ番組は、CMを提供するスポンサーからの広告費を収入源として成立しているからだ」

 

これについては、ほとんどの方がご存じですよね。

 

テレビ局にとっては、スポンサーあってのテレビ番組であり、CMだからです。

 

そんなCMも、新型コロナウイルスの影響により、悪い意味で変化していきました。

 

悪い意味で変化していったCMについて、Y氏は次のように述べていました。

 

「タレントの感染対策で新しいCMが制作されず、流すものがどんどん減っていく。

 緊急事態宣言の出る前から、旅行関係のCMは、完全にテレビから消えた。

 活況を呈していたインバウンドも街から消失、ホテルや航空会社、鉄道の広告も無くなった。

 そのほかにも、飲食店関係や遊園地、映画、コンサートなどのイベントのコマーシャルがすべてなくなっていった」

 

かつて、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出されたときは、ドラマはもちろん、タレントの感染対策で新しいCMが制作されず、流すものがどんどん減っていった事態になったことがありました。

 

これにより、緊急事態宣言の出る前から、旅行関係のCMは完全にテレビから消えることに。


活況を呈していた外国人観光客によるインバウンドも、街から消失し、ホテルや航空会社、鉄道の広告も無くなった。そのほかにも、飲食店関係や遊園地、映画、コンサートなどのイベントのコマーシャルが全てなくなっていったこともありました。

 

代わりに増えたのが、ネット漫画やゲームなどの、新しい娯楽やエンターティンメントのCM。

 

いまでも夜中や深夜にかけて頻繁に流れていることから、いまやゴールデンタイムの主流CMになっていると言ってもいいかもしれません。

インバウンドについては、新しいワクチンや治療法などにより、コロナに感染しても重症者が少ないことや、緊急事態宣言や行動制限も解除されたことで、インバウンドの需要も少しずつですが増えてきました。

 

それにより、今後は旅行関係や、飲食関係、遊園地、映画、コンサートなどのCMも増えていくことでしょう。

 

◆一番大きかったのは消費そのものが冷え込んだこと 代わりにACジャパンや政府や自治体の外出受祝と感染対策へのアピールを促すCMや医療関係のCMが増加

コロナ以外の理由で、CMの衰退が一番大きかったことについて、Y氏は次のように述べていました。

「一番大きかったのは消費そのものが冷え込んだことで、テレビのCM出稿の枠の大きなゾーンを占める自動車や電化製品などのCMも極端に減少したことだ。

 その代わりに、政府や自治体の外出自粛と感染対策へのアピールを促すCMや医療関係のCMは増えた」
 

2021年度に、1年延期されて開幕された東京2020オリンピック。

 

2021年7月23日から行なわれたましたが、感染が増加傾向にある中で開催されたことから、オリンピックのために予定していたCMも、新型コロナウイルスの感染拡大による自粛ムードとスポンサーの売り上げ減速の影響が大きく響いていました。

 

代わりに、広告料は無料で流せることでもおなじみのACジャパンを含め、政府広報や自治体の外出自粛と感染アピールを促すCMが増加することに。

 

このような、ACジャパンをはじめ、外出自粛と感染アピールのCMの増加に、CMの劣化のようなものを感じたのは、私だけではないでしょうね。

 

◆テレビ局のCMはなんでも放送できるわけではない 実は厳密な考査基準が存在していた

 

ところで、テレビ局のCMは、広告料さえ支払えばなんでも放送できるわけではなく。実は厳密な考査基準が存在することをご存じでしたでしょうか?

 

長年、曲がりなりにもCMをテーマにしたブログを書いている私も、今回の基準は初めて知りました。

 

Y氏いわく、なんでも、テレビ局が放送してもよいと判断したCMしか放送できないそうです。

厳密な考査基準として、まず業態考査があるのですが、これは広告を出す企業、広告主の企業や団体の考査であり、

 

・企業が健全であるか

・公序良俗に反する企業ではないか

・警察や消費者庁に注意や逮捕などのトラブルが過去にないか…etc

 

等、各局で信用を担保するための考査があるのだそうです。

 

しかもこれだけでなく、次に実際に放送する素材検査というのが行なわれ、

 

・CMの内容や映像が放送倫理に違反していないか

・虚偽、誇大表現がないか

・根拠がしっかりしていて効果や商品に危険がないか

・薬事法や健康増進法に抵触しないか

・差別表無限や不快にする映像表現がないか

・サブリミナル、光感受性発作を起こす可能性を含む強い光の点滅の使用はないか…etc

 

等、法令遵守と放送基準や放送法などの法律とも照らし合わすことに。

視聴者には、この2つの厳しい基準を通ったCMだけが放送できるということになっているのだそうです。

 

前回の記事で、地上波で流すCMとしては、ネット上でチープであると評価されていたことや、私自身も少し内容がチープではないか? と思えたCMとして夢グループのテレビショッピングのCMを例に挙げたことがありました。

 

けれど、そんな夢グループのCMであっても、実は、上記したように法令遵守と放送基準や放送法などの法律という厳しい基準を通ったからこそ流れているCMでもあったんですね。

 

◆テレビ局各社で判断が異なるパチンコ店のCM

 

さらにY氏は、分かりやすい例としてパチンコ店のCMを挙げていました。

 

射幸心を煽る恐れがあるという理由から、実は、パチンコのCMはテレビ局各社で判断が異なるのだそうです。

 

具体的には次の3つの判断となっていました。

・パチンコ台、パチンコの玉、店名を出さず、あくまで企業名だけが放送出来る局

・パチンコの新機種まではOKの局

・パチンコ企業だと全く分からない、レジャー産業として放送する局など

なるほど、パチンコのCMの中には、パチンコの新機種を宣伝しているCMもあれば、店名だけだったり、企業名だったりと様々ですが、それには各局の判断によるものだったんですね。

また放送時間帯も、午後22時以降で放送が解禁される局や、深夜0時を回れば放送が可能な局など、その対応が分かれているそうです。

 

ただこれらの基準は、あくまでも各社の個別の基準であり「あるテレビ局では、拒絶されたが、少しナレーションとか映像を改定して別の社では放送可となった」という事例もあるとのこと。

 

また、昔は放送できたけれど、いまは難しいというケースもよくあるということでした。

 

◆CMの劣化は広告代理店にも責任が 電通が国内で最大級のCM撮影スタジオを売却のうえ閉鎖という事態も

CMの劣化は、Y氏の指摘にあるようなテレビ局の事情もあるのでしょうが、広告代理店にも大きな責任があると言われています。

 

Y氏によると、いままでは記事のようなコロナの影響、ネット広告へのシフトもありましたが、事もあろうに電通が国内で最大級のCM撮影スタジオを売却のうえ閉鎖してしまい、現在大規模な撮影ができるスタジオの数が足りなくなることに。

 

今後はより内容、質が劣化し、貧相化したCMが流れる傾向になりつつあるそうです。

 

電通の都合(固定資産を売り、現金化する)を優先したばかりに、CM撮影に絶対必要なものを自らの手でなくすという、あまりにも愚かで広告代理店としての本分を無視しした暴挙に出たことで、お先真っ暗と称されていました。

 

電通関連の話題をもうひとつ。

 

2020年、電通の発表した「2019年 日本の広告費」は業界に衝撃的ニュースとして伝わりました。

 

その内容は、インターネット広告費が初の2兆円超えの2兆1千億円となったことで、ついにテレビメディアへの広告出稿費(1兆8千600億円)を上回ったというものです。


このニュースに関しては、私を含めあまりピンと来ない方が多いとしても、CM業界としては衝撃的なニュースだったんでしょうね。
 

なにしろ、YouTube動画であれ、見逃し配信のTVerであれ、すべての番組において、商品や企業を宣伝するなんらかのテレビコマーシャル、いわゆるCMが流れているからです。
 

◆テレビ局にとって一番のライバルであるはずのネット配信サイトのCMがオンエアされていることを、テレビ局側はどう考えているのか?


いまやテレビは、ネット配信へと代わり、NHKや地上波も映らない、ネット専用のスマートテレビも登場するなど、テレビ離れを叫ばれ、窮地に追い込まれつつある状況でもあります。

 

それなのに、テレビではNetflixのサブスクやAmazonプライムの新作・話題作のCMが、これでもかと放送されています。

 

それはテレビ局にとって一番のライバルである映像コンテンツのCMを、あろうことか、自らの画面で宣伝していることでもあります。

 

テレビ局にとって一番のライバルであるはずのネット配信サイトのCMがテレビ放送でオンエアされていることに、テレビ局側はどう考えているんでしょうか?

 

たぶん、広告料をもらっているからオンエアしているとはいえ、内心は複雑な気持ちなんでしょう……。

 

 

次の記事では、「あるテレビディレクターの「CMの劣化」というテーマのネット記事をもとに書いてみました3」ということで、今度はネットのユーザーさんのコメントから見たCMの衰退について書いてみたいと思います。