読書 窪三澄 トリニティ | comme a la campagne

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日々思ったこと、気に入ったもの、忘れたくないことを綴ってます(^○^)

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花をいただいたので、飾りました。

 

窪美澄のトリニティを呼んだ。

1960~70年代に若者だった3人の女たちの一生を描く。

 

3者三様で面白い。

舞台はジェンダー的に女が生きづらかった時代。

 

ひとりは、母も祖母もライターで、独立した家計を支える女たちの家系で育った登紀子。

ライターの才能もあるし、小さい頃からおしゃれで華やかな生活をしてきた。

文豪の知り合いとかもいて。

登紀子はライターとして男勝りに働くが、中年になると疎んじられる。

中堅の女はなかなか難しい。

登紀子は身内の男たちがふがいないので、きちんと女も稼がないとと思いながら育った。

家庭生活に仕事に奔放に登紀子は生きたが、晩年は、貧困となった。果たしてなぜなのか。。

最初は貧困生活の登紀子に鈴子の孫が話を聞くところから始まる。

 

もうひとりは、赤ちゃんの頃に捨てられて、田舎でちょうど幼子を失った女性に育てられた妙子。

小学生くらいから、捨てたお母さんが現れて、なんども引き取ろうとする。

 

育ての親は、おそらく亡くなった幼子と同じ結核か何かで、妙子を高校から手放す決心をし、

サナトリウムで1年後くらいに亡くなった。

 

手放してからは、妙子と会っていない。妙子が小さい頃も、ひょっとしたら結核の菌を持っているかもしれない

ので、妙子をぎゅっと抱きしめなかったし、眠る時も近くだけど離れて寝ていた。

小さい頃の妙子は、小さな村なので捨て子ということがみんなに知れていて、

そのことで嫌な目に何度もあった。

生みの親と東京に出てからは、生みの親が昼も夜も猛烈に働いて、美大を卒業させてくれ、

その後はイラストレーターとして成功した。

妙子は、生みの母が、男がいないことで苦労していたので、自立しようと思う。

しかし、女が売れっ子で仕事が忙しいというのは、これもまた夫や子供とうまくいかない時代で。。。

 

最後は鈴子。同じ雑誌の編集部のお茶くみをやっている、典型的こしかけ。

寿退社で団地暮らしに入ったが、悲しくなってしまう。

今頃妙子や登紀子は社会できらきらと輝いているのに。

鈴子は典型的な昭和の何も考えていない女性像だ。

安定はしているし、子供からも慕われている。

しかし、夫がいなくなったらどうするのか。自分の価値って何なのか。

 

三者三様の悩みを丁寧に描いていた。

面白かった。

でも、なんか読むのに時間かかったなあ。なんでだろう。推進力がないような。

途中からだんだん面白くなってはきたけれど。

 

女が社会で生きていくということを問うていて、なかなか感慨深かった。

どれが一番いいなんて言えない。

でも、結婚後も女も自立はした方がいいだろうな。