黛敏郎の「題名のない音楽会」は、実験的な音楽番組だった。扱う音楽のジャンルは、メインはクラシックだったが、ジャズもよく取り上げていた。「美空ひばり」も出演したことがあり、多岐にわたっていた。毎回何か一つのテーマを設け、常識にとらわれず、音楽に色んなアプローチをかけてゆく。このような番組は、ほかにはあまり見受けられなかった。これも初代の司会者の黛敏郎(本職はクラシックの作曲家)の音楽に対する造詣の深さと、ユーモアの精神が為せる技だと思う。僕も何か独自のテーマを持っていれば、いつかは、この番組に出られるのではないかと思ったぐらい夢のある番組だった。黛敏郎が亡くなってからは、「題名」はほとんど見なくなった。
この作品は、チャイコフスキーの絶筆と成ったらしい。第四楽章の第二主題の後半で、光輝く「神の領域」にもう少しで手が届きそうなのに、再び絶望のどん底に突き落とされてしまうという場面がある。これは、彼の音楽表現も、まさに「神の領域」まで近づいていたということを象徴的に表わしているような気がする。この作品には、恣意的なものや、雑念など感じられない。あくまで純粋である。聞き終わった後、一つ一つのメロディーを思い浮かべると、余りの美しさに胸が熱くなってしまう。かつてNHK音楽祭で、僕の好きなマリス・ヤンソンスが、ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団を指揮して、この作品を取り上げていたが、僕がイメージしていた通りの演奏を聞かせてくれた。
吹奏楽を演奏する吹奏楽団とは、一言でいえば、文字通り、吹いて音を出す楽器(木管楽器と金管楽器)に打楽器を加えた演奏団体の事である。別の角度から説明すると、クラシックのオーケストラから全ての弦楽器(バイオリン・ビオラ・チェロ・コントラバス)を取り除き、バイオリンの高音域を補う為にクラリネットの人数を大幅に増やし、ビオラとチェロの中音域を補う為に、新たに、三種類のサクソフォン(木管楽器)とユーホニウム(金管楽器)を加えた演奏団体と言う事になる。ただし、コントラバスだけは二本ぐらい置いている吹奏楽団が多い。吹奏楽団は、以上のような編成になる為、演奏するレパートリーは、主にクラシックのオーケストラが演奏する曲を吹奏楽用にアレンジした曲と、 吹奏楽の為だけに作曲されたオリジナル曲から成る。吹奏楽団員は、技術の向上と音楽性を高める為に、プロのクラシックのオーケストラやプロの吹奏楽団を目標にしているので、必然的にクラシック音楽を聞く機会が多くなる。