大人の女性は、こどもにとって、
時々すごくかっこいい。
小学生の頃、金管バンドというものに属していた。
それは、金管楽器を吹いて演奏したり、
マーチングと呼ばれる、
(楽器を演奏しながら列を揃えて歩いたり動き回ったりするもの。)
をやっていた。
そして、小学生の学校以外の時間を、
ほとんどそれに費やした。
学校が終わって、
部活みたいにその金管バンドの練習がある。
暗くなるくらいまで。
そして、小学生に暗い夜道を帰らせる訳にもいかないので、
帰りは当番でそれぞれの親が車でみんなを迎えに来てくれる。
私の母親は免許を持っていなかったため、
他の子のお母さんたちがいつも迎えに来てくれていた。
「こんばんはー。 よろしくお願いしまーす!」
と言って、”友達のおばちゃん”の車に乗り込む。
その中の一人のおばちゃんが、
ちょっと変わった人だった。
今でこそ珍しくないけど、
女性なのに大きなバイクにまたがり
街を颯爽と走ったり、
大きなカメラを持って
写真撮影をどこそこでしてきたり。
そんなおばちゃんの車でかかってる曲は、
いつもカーペンターズ。
小学生だったため、いわゆる洋楽というものに
疎い自分は、
”英語の歌聴いてるなんて、おばちゃんかっこいい~♪”
と、いつも思っていた。
おかげで大概の曲を
その車の中で覚えてしまった。
そして、みんなして車の中で
カーペンターズを熱唱して帰る。
曲の出来を注意されてへこんだ日も、
何度練習しても上手く行かなかった日も、
みんなで歌えば元気になった。
それから、
カーペンターズが流れるたびに、
思い出すのはみんなで歌った帰り道。
おばちゃんの運転するかっこいい横顔と、
カーペンターズのメロディが、
私の中ではしっかりリンクしている。
そして、
その後数年ぶりにそのおばちゃんと会ったとき、
大人になった私に言った言葉は、
「リッカ、やっぱり男は顔だよ。」
だった。
昔より、深く刻まれたしわと、
ハスキーな声が、
大人になった私にも、
やっぱりおばちゃんはかっこいい!と、
思わせてくれた。