忘れっぽくてアルツな私だけど、
今までに人から言われた言葉で、印象深いものがいくつかある。
「あんたは、ここにいないほうがいい。」
(バイト先の店長 推定40代半ば)
これは、高校生になって初めてバイトをした
喫茶店の店長から言われた言葉。
当時、高校一年で、
アルバイトというものを経験したことがなく、
”バイト”というものにすごく興味があった頃、
とにかくウェイトレスのバイトがしてみたくて、
求人誌を読み漁っていた。
学校では、バイトは禁止されていたが、
考えの甘いわたしは、
”ま、大丈夫だろう。”という感覚で、
バイトの面接を受けた。
面接には、小太りのおじさんと、
なんだか情けない感じの、
小太りのおじさんにへーへーしてるような
やせたおじさんが同席した。
小太りのおじさんは、
その喫茶店のオーナーだった。
やせたおじさんは、
その喫茶店の店長だった。
「友達を店に連れてきて、溜まり場にしてはダメ。」
「店で覚えた事や見た事を口外してはダメ。」
など、いくつか注意点があったが、
なぜそんな事を言うのだろう?と思いながら、
「わかりました。 約束します。」
と言って、面接を終えた。
次の日くらいに、返事が来た。
面接に合格。
わたしは、
やったー!初めてのバイトだー!
しかも憧れのウェイトレス~!!
なんて、うれしい気持ちで、
バイト先に通うことになった。
お客さんに水を出して、注文を聞いて、
出来上がったものを出す。
おしゃれな店ではないけれど、
ほどよくお客さんも来るし、
暇じゃないし、
バイト料もその日のうちにもらえるし、
なんだか楽しい。
初めてのバイトということで、
マジメに働いたつもり。
すると働き出して3日くらいした頃、
やせた店長は言った。
「あんたは、ここにいないほうがいい。」
「なんでですか?」と、わたし。
(店長)
「とにかく ここにいないほうがいいんだって。」
(わたし)
「私の働き方がよくなかったのでしょうか?」
(店長)
「いいや、そういうことじゃなくて。」
(わたし)
「・・・はぁ、、、」
(店長)
「まぁ、オーナーには僕から上手く言っとくから、
明日から来なくていいから。」
(わたし)
「わかりました。。。」
自分の何がいけなかったんだろう。。。
友達だって連れてきてないし、
ここでの事、誰にも言ってないのに。
てゆうか まだよくわかってないくらいなのに。。。
店長から突然そう言われて、
訳のわからないまま、
わたしの初めてのバイトは終わってしまった。
後日、何気なく夕方のニュースを見ていたら、
こないだまで働いてたあの喫茶店がテレビに映ってる。
ん? なんだ?! なんだ?!
と思い、よくよくニュースの内容を聞いてみると、
「ゲーム賭博容疑、客ら逮捕。」
と、ニュースでは報じていた。
”初めてのバイト”
”ウェイトレス”
”やったー!”
なんて喜んでいた
高校一年生当時の自分には、
なんにもわからなかったけど、
わたしの憧れていた初めてのバイト先は、
かなり危ない場所だったようだ。
そのニュースによると、
客と一緒に従業員も逮捕されていた。
もしあのやせた店長が、
「あんたは、ここにいないほうがいい。」
と言って、あの時わたしをやめさせていなかったら、
バイト自体が禁止されている学校で、
その後普通に高校生活を続けることは
出来なかっただろう。
後から思えば、
あの店長は、危険を察知していたのだろうし、
世の中のしくみを知らず、
一生懸命働くわたしを見て、
何かしら思うことがあったのだろう。
だからあの時、突然あんな事を言って、
自分をやめさせてくれたのだと思った。
あの店長、当然逮捕されてるだろうし、
その後どうなったのだろう。。。
やせていて、オーナーの言いなりになっていた
情けない感じのおじさんだったけど、
昔は、あのおじさんも真面目に働いたり
してた時期があったのだろうか、
家族とかいたのかな、、、
わたしは、その店長のおかげで、
その後の高校生活を無事に送りながら、
時々そんな事を考えていた。
・・・でも、
そんな店長に言いたかったことがある。
おじさん、
おじさんはわたしの知らないような
汚れた世界にどっぷり浸かっていたのかもしれないけど、
でも、あの時おじさんが取った行動は、
真っ当な大人がする行動だったと思うよ。
おじさんのおかげで、
わたしは普通に毎日を過ごすことができて、
高校も卒業できたよ。
世の中のしくみを、何も知らなかった
世間知らずな高校生を助けてくれてありがとう。








