bunkamuraル・シネマで最終日の「シェイクスピアの庭」を。
bunkamuraル・シネマでの公開が今日まで、というので行ってきました「シェイクスピアの庭」ロンドン グローブ座での「ヘンリー8世」上演中に、突然大火に見舞われ、49歳という若さにして筆を折る決心をしたシェイクスピア。ストラットフォード アポンエイボンにある生家に戻り、20何年以上もほっぽらかしていた家族と向き合い、幼い頃亡くした息子を悼むために「シェイクスピアの庭」を作り始める。すると、隠していた、また見たくなかった様々な不都合な真実とも、向き合うことになり、、原題はALL is TRUE。これはヘンリー8世の戯曲の原題でもあり、今までほとんど語られて来なかった大作家シェイクスピアの、晩年を描く真実の物語でもあるのです。監督・主演・プロデュースを務めたケネス・ブラナーは、シェイクスピアの肖像画に似せた付け鼻、禿げ上がった長髪。よく通る美しい口跡。シェイクスピアのスポンサーでもあり、多分、同性の恋人でもあったサウザンプトン卿(ソネットを捧げた美青年のモデルだったと言われる人)、今は老いたその人と、同じソネットを暗唱する場面、卿を演じるのはイアン・マッケラン。こちらも、味わい深い素晴らしい口跡で、聴いているだけでゾクゾクする、シェイクスピア文学の象徴的場面になっていました。もう、この場面を見るだけでも、この映画を見る価値あり!また、8歳年上の妻 アンを演じるのは、映画「恋に落ちたシェイクスピア」でエリザベス女王を演じ、アカデミー賞に輝いたジュディ・ディンチ。文学者の連れ合いにもかかわらず、文字が読めず、ひたすら家を守る妻が、亡くなった息子の死因を、「疫病」と何度も言い張る、その場面の鬼気迫る素晴らしさ!何年か前にストラットフォード アポンエイボンの家や、妻アンの生家を訪ねたことがありましたが、ターナーの絵画を思わせるイギリスの田舎の情景も相まって、様々な感情が湧き上がってきました。名誉、愛憎、家族、才能、嫉妬、学問、永遠、、見終わって何時間か経った今でも、ずっしり重い。映画でしか描けない、いい映画です。#シェイクスピアの庭 #晩年 #ケネスブラナー #ジュディディンチ