しおじのし -36ページ目

   しおじのし

  ー裏路地の one dropー



先人が創造したOPERAに
若い息吹きが吹き込まれたり
新しい絵画が飾られたり
先人の使った額に納められたり、

幾年過ぎてもそこには
変わらない若さが溢れている。

知能や才能を誇示しない。
純粋な躍動だけが人々を鼓舞させる。

小さな継続に大きな力を
今日休んでも明日また歩き出すことを
彼らは信じて止まないのだ。
テーブルの下からそっと…
そっと伸ばして私に近づいて。

ストーブに火をいれるよな寒い季節だもの
互いに重ねて、
重ねて着てしまう前に。

瞳をじっと見つめたままでいて
冷たくかじかむ、
悴む爪先があなたに触れる前に。

湯気が目立つ紅茶
薄暗い電灯の店
窓ガラスは雨音で泣き声。
濡らした指先
レコード盤はもうすぐ、
もうすぐ裏返されてしまうから。

テーブルの下からでお願い…
そっと伸ばして私に近づいて。
静か過ぎる朝に自分の耳を疑う。

遥か遠くで汽笛が一声を揚げた。
淀んでいるわけではなく、
晴れ渡るでもない。
港に近いこの部屋では
小さな丸い窓から見えるが
すべて すべてなのです。



深き透明な碧水に自分の目を疑う。

林の奥から子供を迎えにきた。
私は手を貸すでもなく
手をふるわけでもない。
財布に帰りのバス代が
今日も少し足りない人生が
すべて すべてなのです。