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東日本大震災 - 1

世界最大級のマグニチュード9.0を記録した東日本大震災が
日本を襲ったとき、僕は六本木交差点の直ぐ近く、タクシーの中にいた。

それが地震だと気付くまでに、少し時間が掛かった。
大きな道路工事をしているのかと思えるような揺れが、数秒続き、
それが船に乗っているような感覚に代わった。
近くで悲鳴が聞こえ、辺りのビルから人が次々に飛び出してきた。

道路は、あっと言う間に人々でごった返し、
数分後には、数人の警察官が交通整理を始めていた。



政府が「戦後65年経過した中で最も厳しい危機」と称した未曾有卯の事態から、
昨日でちょうど1週間が経った。
「大地震」「大津波」「繰り返す余震」「原発事故」「計画停電」・・。
重ねて押し寄せる災害・人災によって日本は大きく傷ついた。
失ったものは大きく、その多くはもう取り戻すことができない・・。



「その時」から1週間が経ち、東京はいま「非日常」と「日常」の境にいる。
合いも変らず、政府が、ジャーナリストが、専門家が、そして個人が発信した情報が、
マスメディアとソーシャルメディアを介して、僕らに押寄せてくる。

それでも、テレビの電源を落とし、インターネットとの接続を切れば、
世界は幾ばくか「日常」を取り戻したような錯覚を覚える。
街に出れば、当たり前のように人々が行き交い、日差しは柔らかい。

メディアや個人が発信する情報の中にも、
少しづつ、地震以外の情報が差し込まれるようになってきた。

もちろん今も、被災地でいまだに予断を許さない状況が続いており、
警察・消防・自衛隊などが、今この瞬間も人命のために、必死に活動している。

それでも、ここ東京はゆっくりとだけれど、徐々に日常へのシフトを始めている。
被災の影響を直接受けていない僕らは、被災地・被災者への関心を払いつつも、
いち早く日常を取り戻し、日本を回していく責任がある。
感傷や不安に心を囚われて、歩みを止めてはいけない。


それと同時に、今回の災害を受け、多くの人が抱いたであろう感情や思考を、
非日常の世界に置き去ってきてはいけない。
僕は、その感情と思考が少しでも風化せずに形として残せるように、
言葉に置き換えてここに保存しておこうと思う。

<続く>

考える時間

先日参加したセミナーに付いて、一点補足。

座学形式のセミナーに懐疑的な人や積極的に参加しない人もいるけれど、
僕は結構重要だと思っている派。

理由は二つあって。

1つ目。
少なからず自分より経験を積んでいたり、
立場の違う人の人から、知見を分けて貰える。

もちろん、魔法のようなナレッジや
眼からウロコが落ちるようなファクトはなかなかないけれど、
少なからず、視野は広げることが出来る。

セミナーという形式自体、
ブログやソーシャルメディアの台頭で、より情報の希少性や専門性を高めていかなければ
価値を生み出しづらくなるだろうけど、
少人数制の講義であれば、専門性の高い情報が期待できる。

2つ目。
僕のように、怠け癖があるタイプの人間に取って、
半強制的に、情報を浴び。同時に思考する時間が取れる機会を作れることが
実は、重要だったりする。

リアルタイムで展開される生きたコンテキストを
自分の中に取り入れて、同時に解釈を生み出していくという作業が、
その空間にいるだけでできることは、実は大きなメリット。

実は、こうしてブログ書く行為も、同じ意味を持っている。
瞬間的ではなく、時間を掛けて咀嚼した思索を定着させることを目的とした作業。

「考えて、書いて、公開するというプロセスの中でも、
文字化する直前の「考える」という行為に時間を取るために、
わざわざ文章に落としているんだなー。

クライアントの本音

今日は珍しく、1日中社外研修。

宣伝会議が主催している
『広告・SP・制作会社が知るべきクライアントの本音講座』に参加してきた。

 <概要>
 クライアントが何を望み、広告・SP・制作会社を選んでいるのかを知り、
 活かすことで、競合プレゼンに勝ち抜く企画提案ができる人材を育成する、
 実戦型クライアント徹底攻略研修。


外資系企業でブランドマネージャーに類する職に付いていらっしゃる方々を講師に、
どのようなプロセスや判断機軸で、
企画やエージェンシーを取捨選択しているのかという話をしていただいた。

現職ブランドマネージャーの方々の視点や思考は、
代理店という立場に身をおき続けることで生まれた視野狭窄を解してくれた。

然しながら、講義の内容に関しては、コンプライアンスに抵触する可能性があり、
ウェブ上に記述しないで欲しいという注意を受けているので、ここには記述しない。
(社内の方向けには、別途時間を取ってフィードバックします)


ただ折角なので、総論として「クライアントの本音」という
講義タイトルに即した感想だけはここに記しておく。

1)「クライアントも人の子」

実際に講師の方が、強調していた言葉。
その一言で整理してしまっては、身も蓋もないと思ったけれど、
改めて考えてみると、クライアント理解のスタート地点はここなのかも知れない。
「クライアント」という言葉で担当者をカテゴライズしている時点で、
不必要なバイアスを掛けて捕らえてしまっている感はある。
代理店に苛立ちを感じることもあれば、熱意ある提案に答えたいと思うときもある。
別にクライアントだから特別な思考プロセスを持っているわけではないよね。
つまり、人として当たり前のコミュニケーションが結局は大事なんだな。

2)クライアントインサイト

特段講義で出てきた言葉ではないけれど、
企業文化や担当者のパーソナリティを理解することはやはり重要だと感じた。
「クライアントも人の子」と整理したあとで、枝分かれする傾向は、
「クライアント/ブランドマネージャー」という職種よりも、
「企業文化や担当者の人間性」という要素の方が色濃く表れていると感じた。

ついつい、手間と対価のバランスを鑑みて、
クライアントインサイトを深く思考する時間を省いてしまうことがある。
特に、本来より手間を掛けなければ心を動かすことができない新規顧客ほど、その傾向は強い。

マーケティングコミュニケーションを考えるとき、
顧客の顧客である「ユーザー」インサイトは深く思考するけれど、
それと同じ程度「クライアント」インサイトを深く思考する機会はそれほどない。

お客さんの立場になって考える。
言葉にしてしまうと陳腐だけれど、市場・企業・組織・商品・経歴など、
顧客立場を理解するには、知らなければいけない要素は多く、
この行動を取れるようになることが、営業という職種の極みだなあと思う。


「クライアントの本音」

という単語に反応してしまった人は、
僕も含めて、クライアントという職種を色眼鏡でみてる人が多いかも知れない。

もちろんビジネスマンなので、本音と建前は使いこなしているという前提はあるけれど、
「クライアント」特有の本音なんて仰々しいものなんて、基本的にはない。
広告代理店とクライアントを繋ぐものは、やはり極めて属人的な人間関係だ。