京急線の金沢八景から追浜あたりの海沿いを歩いた。そのスタートは、駅前にある「八景堂」である。
駅前が整備される前、そして先代の親父さんが鍋をふるっていた頃からの愛すべき店である。
ここの炒飯はとてつもなく美味い。多分、マイベストである。そしてラーメンも昔ながらのしようが守られていて、その部門でいえばマイベスト3にカウントしてもおかしくはない。
ただし、一時歳のことを考えて、どちらかだけを注文しようと決めていた時期がある。無駄な努力だった・・・
今時ラーメン500円は泣かせる。そのラーメンと炒飯、そして瓶ビールの大。考えてみれば、ワンタンメンももやしそばもここで喰ったことがない。
当然のことながら、まず瓶ビールが出てくる。面白いのはこの店、瓶ビールのサイズで銘柄が異なるのだ。私が愛する大瓶は、キリンラガー。
11時開店の、この時間にカウンターについてすでに満席である。半分くらいの人はビールを呑んでいる。あとから来たおばちゃんは、かろうじてちょうど喰い終わった客の席に滑りこむ。すごい回転率だよね。
ラーメンがくる。そっけない煮豚(もうチャーシューですらなく見える)にメンマにナルト。
親父さんが丁寧に鍋を振って香ばしく出来上がる炒飯。もちろん、めちゃくちゃ熱い。これを描きこんで、口をハフハフさせながらビールを口に含む幸せよ。ラーメンを注文していても、ちゃんと炒飯のスープがついてくる律義さは昔も今も変わらない。
不思議なもので、同じ味のはずなのにラーメンのスープを蓮華で呑むのと、この炒飯付属スープを蓮華で呑むのとでは、違った味わいに感じられる。誰か、この謎を解明してくれないかな。