田浦倉庫群を歩く ~線路の記憶~ | 酒と散歩の日々                                               

 横須賀には、2本の鉄道が走っている。1つは京急線。もう1つはJR横須賀線。

私は普段は京急を通勤に使っている。そのため、基本京急線の沿線を歩くことが多い。

ここ数日書いている長浦港に面した田浦倉庫群は、京急線でいうと京急田浦駅と安針塚駅の間にある。

しかしながら、実は最寄りの駅はこのあたりでより海沿いを経由しているJRの田浦駅だ。この駅の高架からおりる階段の上部から海側を臨めば、間近にこの田浦倉庫群をみることができる。

 そして、ここまで書いてきているように、この田浦倉庫群はかつて旧日本海軍の倉庫であった。

 

 長浦港に停泊するための弾薬や物資を保管するためだったのだろう。それぞれの目的に応じた倉庫が今も残っている。この倉庫へ物資を運ぶための貨物の引込み線がJR田浦駅から造られていた。

 今回は立ち寄らなかったが、改札のある田浦駅の高架から横須賀方向をみると3つの隧道をみることができる。そのうちの一番右の隧道は、現在使われてはいない(残りの2本が上りと下りの電車に使われている)。この引込み線のためのものだったのだ。

 

 倉庫群の側からみると、まだ線路が残っている。

 

 

 かつては年に1度くらい伐採が行われていて、何とか隧道がみえる線路際のフェンスまで行くことができた。ただ、今はご覧の通りの放置プレイで行けないことはなかろうが、枯れたススキをかき分けて入っていかなければならない。実は冬場にこの倉庫群に足を運ぶのは、今年こそ手入れがされていて、ここをたどれないかなという願望があってのことだ。夏は多分草が繁り過ぎている。

 この線路は、ずっと前 カラオケがまだ8トラックだったりした頃、青春ものの歌謡曲なんかでカップルが線路の上を歩くシーンなんかで使われていた(同年輩の方は心当たりがあるかな?)。

 

 

 

 ここに残る線路の名残りが被写体としてもたまらない。倉庫群の建物も味があるけれども、この線路をみるのもここを訪れる大きな理由の1つだ。ノスタルジィだよねぇ。

 

 倉庫の立ち並ぶあたりの道路にも線路の跡が残る。

ただしこちらは、車の通行の邪魔にならないように、舗装の中に埋まったような状態のところが多い。

 

 

 

 

 何ヶ所も残ってはいるものの、かろうじてここに引込み線があったことを示すような感じ。ただ、各倉庫に向けてこの引き込み線がいくつにも分岐していたことを示す場所もある。

 

 

 

 ダイヤモンドクロッシングという線路の平面交差。全国でもこうやってみられる場所はそれほど多くなく、現役のものは3ヶ所だけなのだそうだ。

 倉庫群の在りし日の姿を想い、賑やかに引込み線の上を貨物列車が走る様子を思い描く。そのために、毎年の恒例行事のようにこの場に立っている。