新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ | 酒と散歩の日々                                               

 「撮って出し」である。理由については最後に触れるが、これを書いているのはAM6:30。今日アップする一番最後に撮影した写真が昨夜PM8:50。おそらく、このブログ史上最速の「撮って出し」となった。

  昨日は、「ⅠHⅠステージアラウンド東京」で上演されている「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ」の観劇に出かけた。

 

 

 昼12時に開演し、終演がほぼ21時という長丁場。昼の部、夜の部を通しての鑑賞であった。

 

 ファイナルファンタジーシリーズのゲームは数多あるけれども、私がゲームとしてプレーしたのは「Ⅰ(本当はナンバーが入っていない)~Ⅺ」まで。プレーステーション2の頃である。

 この中で「ファイナルファンタジーⅩ」は、2001年に発表された。ストーリィがよく練りこまれた名作だと思う。

 

 この作品が、尾上菊之助さんの熱望によって、歌舞伎化された。そこで作られたのが、この「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ(長いのでFFⅩ)」。ゲームのファンで歌舞伎の好きな私としては、絶対に観たい舞台であった。

 

 上演される劇場は、その名にある「アラウンド」の通り、円形の劇場。客席の周囲に舞台があり、客席やその舞台が開店をし場面転換などがスピーディに行われる。(注:写真は撮影可能な幕間と指定されたアンコールの時間のみのもの)

 

 

 さらに、色々なシーンが投影可能なスクリーンの開閉もあって、他にはないスタイルの舞台が展開される。この作品の上演をもって、この劇場は終わるということで、この演出での「FFⅩ」は今後観ることができなくなる(はず)。

 

 定刻に開演、初めにゲームに登場する「23代目オオアカ屋」が登場。演じられるのは、中村萬太郎さん。「歌舞伎が初めての方は?」「FFⅩを知らない方は?」等々の問いかけ、歌舞伎のお作法や「みえ」の切り方など、ごく短時間の歌舞伎教室的なものがあって、いよいよ幕が開いた(幕はないんだけどね)。

 

 「最後かもしれないだろ  だから、全部話しておきたいんだ」のティーダの台詞から始まるストーリィは、見事なまでにゲームをなぞったもの。もうゲームをプレイしたのが20年以上も前なのに、その時のシーンが脳裏によみがえって重なる。特にね、中村米吉さん演ずるユウナと中村梅枝さん演ずるルールーがゲームから抜け出してきたかのよう。歌舞伎だからともに女形として演じられているわけだが、米吉さんは男性が妙にファルセットで出すような声ではなく、本物の女性の声のよう。すごい。

 

 

 ともかくゲームをリアルタイムでやっていた自分には面白い舞台だった。

ただ、逆にこのゲームをやっていなかった人にとっては、よくわからない舞台だったのかな。もちろん、シンプルに突き詰めていけば、勧善懲悪ものだからわかるといっちゃわかるのだけども、ザナルカンド(ゲーム中に登場する眠らない町)やブリッツボールとかね。あんまり説明ばっかになると、演劇として破綻しちゃうからね。

 

 そして、アンコールの撮影タイム。約1分間。家で写真をPCに移してみたら、この時間で40枚近く撮影していた。半分くらいは、ピンボケになっちゃったけれども・・・

 

 

 

 主人公(といっても、ゲームが彼目線で進行しているためこうよぶ)のティーダを演じたのが、この「FFⅩ」の歌舞伎化に臨んだ尾上菊之助さん。お隣のユウナ(女性の方ね)が中村米吉さん。

 モーグリ(ゲームを知らない人には、さっぱりだよね)のぬいぐるみを抱えているのは、中村獅童さん演じるアーロン。本来はこのモーグリは、ルールーが持っていたもの(ソロソロツイテコレナクナッタ?)。

 左端ににかろうじて写っているのは、ティーダの幼少期を演じた尾上丑之助さん。菊之助さんのお子さんだ。

 

 

 上村吉太郎さん演じるリュック(この写真)と中村橋之助さん演じるワッカはこうやって、客席までやってきてくれた。

 

 この「FFⅩ」だけではなく、漫画「ワンピース」「NARUTO ‐ナルト‐」、そして「風の谷のナウシカ」(これも尾上菊之助さんが手がけた)が新作の歌舞伎として、世に出ている。原作と歌舞伎それぞれのファンからの批判も出ている。

 しかしながら、落語の方でいう「古典も昔は新作だった」の言葉通り、伝統にしがみついているだけでは、過去のものになってしまうという危惧が、これらの新作の歌舞伎の展開につながっているような気がする。

 

 

 感動のうちに、劇場を出ると雨はあがっていた。これ一度きりの機会としてしまうにま、もったいない舞台だと思う。

  そして、またこのゲーム「FFⅩ」をやりたくなった。

 

 

 実は、今日から短い旅に出ている。だからまた「いいね」のお返しがスムーズではないかも。