天然の人情を持つA氏の苦悩 | 社会のマンホール

社会のマンホール

コーヒーカラー代表 仲山卯月 兼
恵比寿横丁流し パリなかやま
によるブログ

A氏は私のことではない。
A氏は悩んでいる。

A氏はお人よしだ。
損得抜きで頼まれごとに応えるタチだ。

「世間はは持ちつ持たれつである」
A氏はそんな、やさしい江戸っ子気質を持っている。

A氏の仕事は、営業や宣伝だ。
人と人を繋いだりすることも多い立場だ。

このA氏が悩んでいる。
俺は間違っているのか?と。

例えば

何かに困っている知人Bを、
A氏の人脈の中で、また別の知人Cに紹介してあげる。

また例えば
はA氏が代理でC氏に対し、B氏の頼みごとをしてやる。

A氏は今まで、こういうことやってきた。
それで今まで上手くいってきた。

しかし最近、A氏は
C氏の立場にあたる人間から無視されるようになった。
音信不通、または、無反応の対応をされるようになったという。

原因はすでに音信不通なので、正確にわからない。
C氏は「腹を割って何か言う」ことさえ拒んでいるわけだ。

C氏への頼み事の結末に何の実りもなかったから?
B氏がろくでもない人物でC氏が迷惑を被ったから?

とにかくA氏ごと関わりを拒絶されてしまった。
こういうケースが増えているという。

A氏はここ数年、大きな会社から独立したフリーの立場だ。

私は思った。
人情や親切には
「天然モノ」と「養殖モノ」があるに違いない。

養殖人情は、目的をもって人情を使う。
人情は強力な篭絡の道具になる。
実のならない草にはいちいち水をやらない。

誰からも相手にされなくなったB氏(私も知ってる)が
「最後まで僕を気にかけてくれたのはAさんだけです」
と残し、田舎へ引っ越していった。

A氏の頭には人間世界のフラットな真実が広がりはじめている。

私にもそれが広がった。