澤田瞳子さんの作品に久しぶりに
触れました。
「名残の花」
澤田瞳子著
2019年9月発行
新潮社 出版
かつては取り締まられる側にいた
能役者の滝井豊太郎、そして、方や南町奉行として
質素倹約を心がけるようにと老中に進言し、華やかな芸の世界であるところの能役者を
厳しく取り締まったことがある胖庵(はんあん)こと
鳥居甲斐守忠輝(とりいかいのかみただてる)
相反する二人だが、江戸から明治への流れの中で、
戸惑いはどちらも同等にあった。
江戸への懐古を捨てきれずにいる二人を軸に紡がれた
6つの連作短編集です。
私は、能を知らないのですが、
その世界を垣間見ることができました。
よくぞ、現在まで継承し続けることができたものだと、
改めてホッとしました。
天保の大改革で歌舞音曲や蘭学を弾圧したという
鳥居胖庵は、実在の人物だそうですって、
知らないのは私だけかもしれません(^0^;)
この本との出会いは図書館の返却本のコーナーでした。
他の方が借りられ返された本をすぐに元に戻すのではなく、
一端別のところに置かれてある、そんなところから
見つけました。
よい出会いがありました。
感謝!
この本を紹介するにあたって、
ネットで垣間見たのですが、
鳥居甲斐守忠輝を主人公にして書かれた小説が
もう一つある、と知りました。
「妖怪」平岩弓枝著 1999年発行 文藝春秋出版です。
「妖怪」というのは、澤田さんのほうでも出て参りますが、
鳥居胖庵の異名です。