公認心理師 過去問研究[1095] 第7回悉皆検討〈68〉福祉入所措置施設名 | こころの臨床

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心理学は、学問的な支えも実践的身構えも、いずれも十全と言うにはほど遠い状況です。心理学の性格と限界を心に留めつつ、日本人が積み重ねてきた知恵を、新しい時代に活かせるよう皆さまとともに考えていきます。

第七回公認心理師国家試験問題(2024年3月3日実施)

問68  14 歳の男子A、中学 2 年生。Aは 1 年前から、児童相談所の措置により、ある施設に入所している。Aは、幼少時から親による暴力を受け、中学生になると、非行集団と遊行し、万引きや恐喝、学校での対人暴力をしばしば行った。入所後は、施設内のある小舎で複数の子どもたちと一緒に生活している。小舎では、実夫婦が職員として子どもたちと 寝起きを共にしている。開放処遇であり、施設の敷地内にある学校に通学する。Aは当初職員に反抗的であったが、最近は職員の手作りの食事や畑での農作業を好んでおり、年少児の世話をしたり、職員に甘えたりする場面も増えてきている。   
 Aの入所している施設として、最も適切なものを 1 つ選べ。
1)  少年鑑別所
2)  第1種少年院
3)  自立援助ホーム
4)  児童自立支援施設
5)  児童心理治療施設 

 

 

解は、4

過去には「感化院」と呼ばれていた。民間の篤志家の社会奉仕活動から発展。独自の理念を掲げる。支援活動の具体的内容が出題されたのは初めて。

 

1)  少年鑑別所

法務省サイト「少年鑑別所のしおり」

https://www.moj.go.jp/content/001221182.pdf

上記のp3「処遇の流れ」の図を参照・各々の施設名も確認しておいてください。


2)  第1種少年院

法務省サイト「少年院のしおり」

https://www.moj.go.jp/content/001221690.pdf

第1〜4種の区別を確認しておきましょう。(過去問既出)

 

3)  自立援助ホーム 福祉事業

全国自立援助ホーム協議会サイト

https://zenjienkyou.jp/about/

(上記サイトより転載↓)

法的根拠

児童福祉法第6条の3、同法第33条の6において、児童自立生活援助事業として、第二種社会福祉事業に位置付けられ、義務教育終了後、他の社会的養護(児童養護施設、里親、児童自立支援施設など)の措置を解除された青少年及び都道府県知事が認めた青少年に自立のための援助及び生活指導を行います。

 

4)  児童自立支援施設

(上記サイトより転載↓)

児童自立支援施設には、先駆者たちによる伝統的な理念が存在します。主な例を挙げると、よく食べ、よく働き、よく眠ることが子どもの健やかな育成の基本とした「三能主義」。汗を流して一生懸命に物事を行えば、おのずと道は開けるとする「流汗悟道」。子どもは豊かな自然の中で生活をしてこそ育成される「土は人を化し、人は土を化す」を始めとし、「暗渠(下水道)の精神」や「足の裏の哲学」という児童福祉に携わる者は表立たず、子どもを下支えする力強い裏方であれという教え。社会福祉のあり方である”for him(彼のために)ではなく、together with him(彼とともに)”という「withの精神」。目に見えないもの、例えば愛情などが大切であるとする「目に見えない栄養」などがあります。

児童自立支援施設は、感化院と呼ばれた昔からこのような考え方に基づいて、生活モデルで子どもの支援を展開してきました。児童自立支援施設の理念の1つは「共生共育(ともに生き、ともに育ち合うこと)」であり、すべての者がともに成長し合う生活を営んでいるのがこの施設なのです。

 

5)  児童心理治療施設 

(上記サイトより転載↓)

児童心理治療施設とは、児童福祉法に定められた児童福祉施設で、心理的問題を抱え日常生活の多岐にわたり支障をきたしている子どもたちに、医療的な観点から生活支援を基盤とした心理治療を中心に、学校教育との緊密な連携による総合的な治療・支援を行う施設です。
 児童心理治療施設が援助の対象としているのは、心理(情緒)的、環境的に不適応を示している子どもとその家族です。子どもの対象年齢は小・中学生を中心に20才未満ですが、施設への入所(宿泊)・通所は児童相談所(長)が適当と認めた場合に「措置」として決定されます。
 施設は、集団生活により子どもの状況の改善を図ります。またカウンセリングなどによる心理治療を行って、子どもの成長・発達と自立を援助しています。
 また、家庭から離れて集団で過ごすことにより、家庭の中だけでは解決できない人間関係の「ずれ」や「つまずき」からのひと休みとか、心の見つめ直し、あるいは自分ってなんだろうという自分さがし、仲間との協調と思いやりの心を養うことなどをめざしています。

 

 

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