[「あなただけに打ち明ける」と言われた時…]「医療はチームワークですので、私だけというわけにはいきません。どうしても私だけとおっしゃるなら聞かない方が良いかもしれません。一般に後で後悔なさることがよくあるようですよ」とやわらかに断るとよい。
(『看護のための精神医学第2版』p008, 2001年初版,2004年第2版)
守秘に関わる問題。チームでの精神科医療のケアで起こりやすい、もっとも身近なケアを担っている看護師に対して、特別扱いを求めての「賄賂」として、「打ち明け話」をするケース。これは、チームとは言え事実上、医師を頂点とするヒエラルキー(医療モデル)において、下位に置かれた看護師にとっては、「ほんとうにこの人が信頼しているのは私なのだわ!」と優越感がくすぐられる...つまり賄賂でもあり誘惑でもある。そうなると、患者さんのコントロール下に陥る可能性があるわけで...。欧米の臨床現場でも同様の問題が生じやすいかなあと少し疑問が残ります。予防的に、このように釘をさすのは、看護師の立場なら悪くないと思いますが、協働するチーム医療の一員として公認心理師(法42条を遵守する義務を負う)が加わるときも、同じでいいのかなあと、考え込まされました。