公認心理師 過去問研究[1028] 第7回悉皆検討〈1〉個人情報取扱事業用語 | こころの臨床

こころの臨床

心理学は、学問的な支えも実践的身構えも、いずれも十全と言うにはほど遠い状況です。心理学の性格と限界を心に留めつつ、日本人が積み重ねてきた知恵を、新しい時代に活かせるよう皆さまとともに考えていきます。

第七回公認心理師国家試験問題(2024年3月3日実施)

問 1  個人情報取扱事業者が、個人データの第三者提供を行うために、あらかじめ本人の同意を得ることを表す用語として、最も適切なものを 1 つ選べ。 

1)  オプトイン
2)  プライバシー
3)  エナクトメント
4)  リフレクション
5)  アカウンタビリティ 

 

 

 

解は、1

 

1)  オプトイン Opt-in :ネットユーザーが、自らの個人情報利用を許諾する意思を示す

   行為、これに対し許諾しない意思を示すことが、Opt-out である。

   *心理学専門用語ではないタームが出題された意図に留意すること。
 

2)  プライバシー privacy:汎用の趣旨以上での心理学用語として、特段見当たらない。 
 

3)  エナクトメント enactment:(心理療法の場で)演じること この用語は、主に

   家族療法・精神分析の双方で持ちいられる。双方の特徴と異なりを確認しておこう。
 

4)  リフレクション reflection:オープンダイアローグの用語として、概知であろう。

   その確認と併せ、対人支援の現場で、概ね内省や自己を知ることの趣旨で広く使われて

   いることに留意。

 

5)  アカウンタビリティ accountability:一般に持ちいられる「説明責任」と同じ趣旨で、

   対人支援の現場では持ちいられる、心理臨床の現場では、医療領域のICと同根の理念と

   して、(無論その〈場〉に即応してではあるが、)常に留意すべき理念である。

 

🐱 出題意図の解析

過去問を前例とするなら、第1問と最終第154問の趣旨が、公認心理師に求められるモデルをより明らかに示している感がある。 

となれば、当該第1問の主旨としては、 多職種連携が円滑に行われる前提となる、他領域専門用語との意味のズレによるディスコミニケーションを回避するための、対人支援領域(5分野)を横断する知識が求められる公認心理師の責務を示したかったのではないか。

かつて(過去問でのいくつか前例)のように、単に英単語力からの類推のみでは対処できない、心理学領域内においても学派によって異なる用語法に至る知識が求められている。

今後もこのように、用語の知識とともに、綿密な理解を求める出題が見込まれるであろう。

 

😸 ご質問・ご要望はコメント欄へ