この本が出た頃は、河合隼雄先生のそれまで出版されていた御本はほぼ全て読み尽くしていて、新著を出されるたびにすぐ入手して読むようになっていました。
その後、河合先生が政治に世界に入られてからのアンソロジーや対談集の刊行が主になってからは、次第に積読になっていきましたが。
心理臨床に関わる本は他のユング派の河合先生のお弟子さんたちの本は、(あくまでもにゃんには)ピンとこなくて、その代わりに、中井久夫先生に魅了されていきました。
この御本の分析対象である、明恵上人の『夢記』の紹介は、最初はなんと湯川秀樹先生、その後にも梅原猛先生から、強く勧められたと、「あとがき」にあります。
しかし、当時(この刊行よりも20年前だから、1967年ごろ)の河合先生は、「仏教に対してあまりにも無関心」であったので、気が進まなれなかったとのことです。
それをNHKディレクターと京都松柏社からの外圧で、当時存命だった著名な民俗学者高取正男先生(にゃんも何かの時に引用した覚えが…)と共同研究の推しがあり、ところがその案件は高取先生が亡くなって流れたものの、『夢記』がやっと読めたとのこと。
なので、この本が、のちに国際的にも評価されるようになるとは、河合先生ご自身も予想されていなかったかもしれません。
第一回新潮文芸賞を受賞されています。
2013年に中国語の翻訳も出ています。