第2報告(布川あゆみ:東京外国語大学准教授)「ドイツにおける宗教科とイスラーム」
まずはヨーロッパの宗教教育から解説する。
フランス(ライシテ)を除いて、ほとんどの国で、公立学校で宗教教育が実施されてきた。
宗教教育とは、カトリック・プロテスタントなどのキリスト教系教育を意味してきた。
国により多様の展開がある。
たとえば、受講方法(必修・選択・任意等)・内容の違い(宗教者が特定の宗教や宗派を扱う信仰的要素を伴ったものか、もしくは宗教者以外の教員が非信仰的な観点から一つあるいは複数の宗教を扱うのか)など。「信仰的な要素」を如何に扱うか、「健全な社会統合」を目指す宗教教育理念など。国によって多様。[資料(伊達編,2020)による:割愛]
ドイツの教育の特徴(1)文化高権、就学義務
ドイツにおいては、各州による。
義務教育期間は6歳から12年。
就学義務は、ドイツに居住する全ての子どもに課せられている(保護者に、ではない)。🙀
警察が学校への強制連行、保護者に罰則規制。学校には通わないといけない。🙀
家庭学習は禁止。🙀
ドイツの教育の特徴(2)
教科書の使用義務はない。
検定~認可制度をとる州もあるが、各学校判断(学校の自治)。
生徒代表、親代表の意見が反映することも。
保護者が宗教科への出席を拒否することも認められる。倫理哲学科をその代わりに選択することが可。しかしそれも基盤にはキリスト教。
イスラームの公教育の取り入れは、「社会(構造)的統合」に大きく寄与する。
ドイツにはムスリムが約560万人暮らしている。トルコ、シリア系。全人口の6.4~6.7%
教育の目的は、「共に生きる」こと。
2022年でイスラーム教育導入後10年となる。教員が不足し、養成が課題。
同化的な意味合いの強い統合概念が批判されてきた。共に生きることは、これとは異なる。
反イスラム…排外主義が近年、強まってきている。
布川先生のレジュメ資料より
(つづく)