本日は、出題基準大項目15心理支援の事例問題編、中項目(5)
「心理療法およびカウンセリングの適用の限界」の続き、
「逆転移」の帰結としての「負の相補性」に関する過去問を取り上げます。
第一回(2018.9.9)~負の相補性…逆転移
問138 36 歳の男性 A、会社員。A は転職を考え、社外の公認心理師 B のカウンセリングを受けた。6 か月間 B は A の不安を受け止め、二人で慎重に検討した後、転職することができた。初めはやる気を持って取り組めたが、上司が替わり職場の雰囲気が一変した。その後のカウンセリングで A は転職を後悔していると話し、A が B の判断を責めるようになった。次第に、B は言葉では共感するような受け答えはするが、表情が固くなり視線を避けることが増えていった。その後、面接は行き詰まりに達して、 A のキャンセルが続いた。
A が B の判断を責めるようになってからの B の行動の説明として、
最も適切なものを1つ選べ。
1 不当に B を責めて、自分の責任を外在化する A に対して、距離を置いている。
2 不満をこぼすが状況に対処していない A に対して明確な姿勢をもって臨んでいる。
3 それまでのように A に支持と共感をしないことによって、意図せず反撃してしまって
いる。
4 誤った判断をし A を傷つけてしまったという不安が強くなり介入することが
できなくなっている。
5 職場に対する不満の問題が再燃し、繰り返されていることを気づかせるために
中立性を保とうとしている。
解 3
BはAを無条件に受容することと自己一致への意識的な努力ができなくなっている状況。
「意図せず」に着目。
「逆転移」は気付く(意識される)までは無意識だ(トートロジー😹)。
1 心的な距離が置けていない。
2 意識的に「明確な姿勢」をもってとは言い難い。
つまり、有効な治療支援の姿勢として選択しているとは、文面からは窺えない。
4 Aからの批判をまともに受けて自信をなくしているのではなく、たんに批判を拒絶
(逃げ・回避)している。つまり、Bさんメンタル弱っ!!ということ。
5 意図的に「中立を保とう」との余裕はどうもなさそう。
つまりこの面接は、B の無能により、すでに破綻している。
🐱参考
「負の相補性」
https://psychologist.x0.com/terms/2A2.html
「相補性」とは、社会的な関係の中で、自分に無い特徴や資質 を他者に対して探す、求めるという原理とされます。また、一方 の行動と他方の行動が補い合いながら、互いに“異なった行動”の 型を形成することともされます。
「負の相補性」とは、敵意や支配といった否定的な部分をクラ イエントとセラピストが相互に探してしまうこととされます。相互 が“同じように”否定的な行動を形成することと言えます。 負の相補性は、クライエントが持つ対人関係パターンでみられる 典型的な反応を、セラピストがした時に生じるとされており、心理 療法の失敗(変化が生じない)や中断に影響するとされます。 (上記サイトの記述より)
毒舌、むりに吐いたら、疲れちゃった....