本日は、出題基準大項目15心理支援の事例問題編、中項目(5)
「心理療法およびカウンセリングの適用の限界」の続き、
「動機づけ」に関する過去問を取り上げます。
第二回(2019.12.16)~生活習慣病・アディクション~動機づけ
問142 47 歳の男性 A。A は、長年の飲酒、食習慣及び喫煙が原因で、生活習慣病が悪化していた。主治医はこれらの習慣は簡単には変えられないため、院内の公認心理師と共にじっくりと 取り組むようカウンセリングを A に勧めた。
A は「酒もたばこも生活の一部だ」と話す一方で、「自分の身体のことは心配なので、この2週間はたばこの本数を毎日 20 本 から 15 本に減らし、1日の最初の1本を遅らせている。酒はやめる気はない」と言う。
A の行動変容の段階を考慮した公認心理師の対応として、最も適切なものを1つ選べ。
1 禁酒も始めるように促す。
2 生活習慣病への意識を向上させる。
3 禁煙のための具体的な計画を立てる。
4 飲酒と喫煙の害について心理教育を行う。
5 喫煙本数が増えないように現在の自分なりの制限を継続させる。
解 3
「行動変容の段階の考慮」... 認知行動療法(/的アプローチ)への導入も念頭に
1 喫煙の害への関心はあるものの未だ禁煙が達成できていない段階で、
飲酒の制限を促すことはクライアントの反発を招き、面接の継続が難しくなる虞も
2 それはそうだが、どのような方法で意識変容・意識変革が果たせるのかが課題
4 害についての「心理教育」との言い回しは、「心理教育」概念への「誤解」を誘発して
いる。心理教育とは、害を学ぶのではなく、エンパワメントと改善方法を習得すること。
5 「自分の体のことは心配」とのことなら、その思いを支えて、Aの自分なりの制限から、
さらに少しずつ本数を減らしていける方法を一緒に考えるのが順当ではないか。
「自分なりの」に引っかかってしまう、...ロジャリアンとかなら、なおさら?!
しかし、医療においての支援者と被支援者との関係は、(予めお見通しで)教える側と
(そこまで覚醒しておらずに)教えられる側、つまりする・されるという対等ではない
関係構造となるのが、普通だ。