熱を出して眠っている子どもたちの隣で、以前本屋さんで見かけて以来ずっと気になっていた本を読了。
女優、小橋めぐみさんの『恋読』。
この方が女優さんということは知らなかったのですが、帯に書いてあった書評家・豊崎由美さんの推薦文
「小橋めぐみの感性に、私は嫉妬を覚える」
という言葉に
「嫉妬を覚えられる程の感性ってどれほど!?」
と私も嫉妬を覚えたのです(笑)
だって女優さんってことは、綺麗でしょ?
綺麗な上に、感性までステキって・・・・。
女性らしさや美しさには嫉妬を覚えない私(そもそも勝てるものとも思っていないので)ですが、言葉の感性が優れている女性にだけは激しい嫉妬を覚えるのです。
けれども、読んでみて納得。
この人の読んだ本を私も読みたくなる。
そんな彼女の書評ですが、実は私が一番心打たれたのは、室井滋さんから本とすごく良い香りの珈琲豆が送られて来たというエピソードに彼女が感動するシーン。
というか、そういう氣遣いが出来る室井さんに私も感動。
本を読みながらおいしい珈琲をどうぞ、という氣遣いが素敵過ぎるでしょ!?
あの人にはこの本を読んで欲しい。
そして、こんな珈琲を飲みながら本を読めたら彼女は幸せなんじゃないか?
そんな彼女の、静かに珈琲を飲みながら真剣に文字を追う姿は、それをみる周りの人もまた幸せな気持ちにするんじゃないか?
そういう想像をしながら贈り物を選べる室井さんの余裕と感性の豊かさが本当に素敵だと思うのです。
私はもっと自分のことだけ考えて、ガサツに生きて来たから。
誰かの心のひだに触れようとする繊細な感性と自分のことばかりに囚われない大人の余裕。
本当にステキ。
去年ぐらいから一筆箋(いっぴつせん)集めに凝っていて、誰かに贈り物をする時にはその一筆箋にちょっとしたメッセージを添えて送るようにしていたのですが、実はそういうことが出来るようになった自分を、私自身が一番喜んでいます。
誰かの贈り物をするということも、
その贈り物の包装紙の柄だけでなく質感とか、それに添える手紙とか、そう言うものにこだわるのってやっぱり心に余裕がないと出来ないと思うのです。
で、心の余裕とは何かと言ったら、銀行残高の余裕とも時間的な余裕とも全然関係なくて、
お金や時間以上に自分の気持ちと人の気持ちを大切にする気持ち。
もし、銀行残高や時間が気になって、誰にも贈り物が出来ないのだとしたら、
それは
「人に贈り物をする程の余裕はない」
と強く、強く信じている自分がいるというだけの話。
もし、どこかで誰かにぴったりの素敵なものを見つけたとしても、それを買うのをためらう自分がいるのなら、
「自分には金銭的な余裕がない」とか「自分の親切は迷惑がられる」とか
そういう思い込みが潜んでいると氣づくいいきっかけになると私は思っています。
「金銭的な余裕がない」と思っていると、それにふさわしい行動をするようになります。
そして、その行動にふさわしい現実が展開されて行く。
ただそれだけの話なのに、いまだに「不幸劇場」の女優を続けている方がいかに多いことか。。
「私は出来ない劇場」とか「私は嫌われ者劇場」とか、いろいろあるんですけどね・・・(笑)
そもそも私がなぜ一筆箋を書くようになったのかと言うと、きっかけは数年前に読んだ向田和子さんのエッセイ。
姉・向田邦子さんがいつも数枚のポチ袋をお財布かなにかに忍ばせていて、お金を渡す時には必ずそのポチ袋に入れてから渡していたという話を読んで
「なんて素敵なんだ!!」
と、そのほんの少しの氣遣いにまぎれもない大人の魅力を感じたのです。
そこにさらにひと言が添えてあったら、もっとステキだろうな〜と私の胸がときめいたから。
だから、私は一筆箋を書くようになりました。
向田邦子さんのような素敵な大人の女性になりたい。
そう思ったから私は一筆箋を書き始めました。
さて。
先日、クライアントのRさんより「自分に還るとなりたい自分になる、は一見相反しているように思える」というようなメッセージをいただきました。
私もそう思いつつ微妙な違いを感じていたので、そのことについてじっくり考えてみました。
「自分に還る」とはつまり、自分の中から出来るだけ嘘を失くすということです。
人に嫌われないための嘘とか、人に認めてもらうための嘘とか。
じゃあ、「なりたい自分になる」とは何かと言ったら、自分が素敵だなと心から思える人のようになることです。
もし、その「素敵だな」と思う人のようになることの動機が「ああいう人になれば人の信頼を得られそうだ」とか「ああいう人こそ異性にモテそうだ」というものであれば、それはそういう人になりたいと行動すること自体に「信頼を得るための嘘」とか「モテるための嘘」が含まれることになると思うのです。
そういう「嘘」が含まれてしまったら、それは自分に還ることから遠ざかってしまう。
けれども、モテなくても、人に信頼されなくても、もっと言うと人に思いっきり嫌われても「ああいう人になりたい」と思う人になろうと努力するのであれば、それは「自分に還る」ことの延長上にあるのではないかと私は思います。
だって、その動機は「不安」ではなく、あの人が好きという感情から生まれる「愛」だから。
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