『なんぞころびやおき さいはひよいち篇』
⑭
峠杣一日・著
お妖(おえう)とお卅美(おみみ)の制止(せいし)を振り切って、お冥(おみゃう)の手から鉤手裡剣(かぎしゅりけん)が放(はな)たれた。
標的(へうてき)は、邪魔者お幽(おいう)。
あの女さへ居なくなれば、マドー(圓彦まどひこ)の心は私に向かふに違ひないわ!
「やあ奇遇(きぐう)ですね、お冥姐(ねえ)さん、うおおっ!!」
突然お冥の前に現れた琥珀丸(こはくまる)、間一髪(かんいっぱつ)で鉤手裡剣を躱(かは)した。
その拍子(ひゃうし)に鉤手裡剣は軌道(きだう)を逸(そ)れて、雲居(くもゐ)に消えた。
「お前も!
邪魔なんだよ!」
お冥の鉤爪(かぎづめ)の手刀(てがたな)が冴(さ)え、琥珀丸を落ち武者(むしゃ)刈(が)りにした。
「ぷっ!
つい……急に現れるお前が悪い!」
「何の!
姐さんの愛で、ふさふさにして下さいいっ!」
「黙れガキがっ!」
つるり、ぴかぴか頭になる琥珀丸。
ここで、ほの矢(ほの字の矢)を再度まとめておかう。
琥珀丸→お冥→圓彦→お幽→琥珀丸→……
さて私達は、家の命を生きてゐる生命である。
家の命を預(あづ)かって、生かされてゐるのである。
恋といふも愛といふも、その核心(かくしん)はひとつである。
人生は先(ま)づ、神(祖(おや)、家の命、自(はじめ)の心=息)を祭るの道理(だうり)、当たり前の理(ことわり)であるのだ。
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
〽️
いやさかえ
いのちいやちこ
さいはひよいち
まほらとこいは
みつのたま
南無あれかし大明神
南無あれかし大明神
南無あれかし大明神
つづく。