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峠杣一日・著
兇薬(きょうやく)禁断の調合(てうがふ)は、何と死線(しせん)を越えた。
死ぬと解体される三つ子の魂を、自(みづか)ら極限まで解(ほぐ)して死んだふり。
解体を切り抜けて後、こっそり再構築(さいこうちく)する丸薬(ぐわんやく)であった。
兇興翁(わるおこしぢぢい)と兇薬師(わるくすし)は、兇薬の隠れ家の祭壇(さいだん)に神体として置かれた薬壺(くすりつぼ)の中から此(こ)の世に帰還(きくわん)した。
彼等は何故、そこまでして肉体にこだはるのか。
それは、至極(しごく)簡単。
強(し)ひて、厳密(げんみつ)に言へば、此の世が全てだからである。
宇宙の何処を探しても、今(現在)しかないのである。
肉体が無ければ、過去も未来も、先祖も子孫も、何にも無い。
肉体が無ければ、宇宙そのものが無いに等しいのだ。
宇宙究極の秘宝(ひほう)である肉体は、大事にしなければならない。
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
〽️
いやさかえ
いのちいやちこ
さいはひよいち
まほらとこいは
みつのたま
南無あれかし大明神
南無あれかし大明神
南無あれかし大明神
つづく。