『なんぞころびやおき 天球旅情篇』(52) | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


『なんぞころびやおき 天球旅情篇』

(52)

峠杣一日・著

「むむっ?!」

突然、竃火平霊太子(へひへひたいし)の持つ金色(こんじき)の大麻(おほぬさ・祓串はらひぐし)の柄(え)がぱちんと音を立てて左右真っ二つに割れた。

瞬間、死に神の姿も葈耳型宇宙円盤兇興翁(をなもみがたうちうゑんばんきょうきょうをう)の姿も搔(か)き消えた。

先刻(せんこく)の兇興円盤の突撃は、死に神ではなく竃火平霊太子の大麻へちくちく誘導弾(ちくちくミサイル)を撃ち込むものだったのだ。

相撃ちかと思はれた其の時、兇興翁の声。

「見たか!
私(わい)の頗(すこぶ)るかっこ好(よ)さっぷりを!
そして!
腰を抜かして皆々死ぬがよい!
兇興変化(きょうきょうへんげ)!
これが!
私の本当の姿よっ!!」

無限の宇宙空間に、ぱちりとひとつの眼(まなこ)が開いた。

ぎょろぎょろ、ぎょろぎょろ、腐れ眼弾丸(くされめだま)だ。

涙の雫(しづく)の如(ごと)く溢(あふ)れ出る無数の小さな腐れ眼弾丸が、大腐れ眼弾丸(おほくされめだま)を中心に渦(うづ)を巻く。

やや、まるで銀河そのものの姿だ。

バルジ(中央の脹(ふく)らみ)が兇興翁の頭部に変はると、円盤部(渦巻)を随(したが)へた兇興銀河(きょうきょうぎんが)、兇興大明神(きょうきょうだいみゃうじん)が出現した。

「きょきょきょきょきょきょ!
私の勝ちぞ。
斯(か)うなれば最早、天の川銀河ごと地球人類は滅ぼすのみ!
貴様らのやうな育ちの悪い蛆虫(うじむし)の分際(ぶんざい)が、我が物顔で宇宙へ出張って来るなどあってはならん事なのぢゃ!
けっ!
虫唾(むしづ)が走るわ!
全員死刑!!」

バルジ兇興翁が大きく口を開く。

「兇興砲(きょうきょうはう)、発射!!」

おどろおどろしい大腐れ眼弾丸の光跡(くわうせき)が、天の川銀河の中心を的(まと)にして突き進む。

「きょっほーう!
ゆけーっ!!」

しかし、前方の宇宙空間にぱっちり、ひとつの眼が開いた。

滾々(こんこん)と湧(わ)く泉の如く流れ出る無数の勾玉模様(まがたまもやう)の渦巻き、バルジに現れたのは豆鼕翁(とうとうをう)の顔だ。

此処(ここ)に豆鼕銀河(とうとうぎんが)、豆鼕大明神(とうとうだいみゃうじん)が顕現(けんげん)。

でんでん盾(でんでんシールド)がぽんぽんと鳴り、兇興砲弾(きょうきょうはうだん)を蹴散(けち)らした。

「己(うぬ)!
豆鼕!
邪魔ぢゃ!
きょーっ!!」

再び放たれた兇興砲も、ぽんぽんと虚(むな)しく四散(しさん)する。

「豆鼕よ!
なぜ地球人類に肩入れするのぢゃ?!
彼奴等(きゃつら)は救ひようのない阿呆(あはう)ぞ?!
迷妄念々(めいまうねんねん)の掃き溜(だ)め、宇宙の癌(がん)ではないかががががががっ!
きょ?!
ぎょえええええええええええっ!!」

急激に崩潰(ほうくわい)し始めた兇興銀河、絶叫(ぜっけう)する兇興翁自(みづか)らの口に開いたブラックホールの中へぺろり呑み込まれて消滅してしまった。

豆鼕翁は宇宙の豆である。

豆鼕銀河の姿も、豆鼕変化(とうとうへんげ)の序の口(じょのくち)に過ぎない。

人の迷妄念々を焚(た)き付けからかふて氣晴らししてゐるやうな兇興貧乏神(きょうきょうびんぼふがみ)に、そもそも勝機(しょうき)などないのだ。

さて、翁等の銀河変化の姿からは人間の本質の一端(いったん)が垣間(かいま)見える。

宇宙そのものは母(肉体・大地)であり、其処(そこ)から現れる眼は父(精神・芽)であり、そして生まれる子(生命・八百萬(やほよろづ)の稔(みの)り)で常の親子(とはのおやこ・永久の親子)の三つ子の魂(一(いち))となる。

其処に一貫(いっくわん)して息衝(いきづ)くのは、常の理(とはのことわり・永久の理)。

要(えう)は、倶(とも)に美(うるは)しき和(やは)らぎ、大和心(やまとごころ)であり、古来「意」(おもひ・心に昇る太陽)の一文字で示されてゐるものだ。


【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】

いちよあれかし、さいはひよいち。

まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!

つづく。