『なんぞころびやおき 天球旅情篇』(51) | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


『なんぞころびやおき 天球旅情篇』

(51)

峠杣一日・著

「畜生奴(ちくしゃうめ)がっ!!」

突如、葈耳型兇興宇宙円盤(をなもみがたきょうきょううちうゑんばん)が船内全ての邪悪原人(じゃあくげんじん)を吐き出した。

兇頑(きょうがん)と兇闇(きょうあん)の梟鏡兄弟(けうきゃうきゃうだい)も兇蔵(きょうざう)や兇然法師(きょうねんほふし)達も最早(もはや)姿形を失ってをり、夥(おびただ)しい腐れ眼弾丸(くされめだま)のひとつの塊(かたまり)と成り果ててゐた。

次の瞬間、腐れ眼弾丸の塊は死に神の黒い影に包み込まれて完全に消滅した。

其の時、彼等の瞳の奥に映し出されたものは……。

噫(ああ)、天の川の浮き津(うきつ・船着き場)

其処から一直線に続く長い道を、両端にずらりと並んだ灯火(ともしび)が浮かび上がらせてゆく。

天の川の灯台を守る天女(てんにょ)達が持つ、手燭(てしょく)の明りである。

彼女達の間を飛び抜ける龍(りゅう)の子、瑤大蛇(たまをろち)の児瑤大蛇(このたまをろち)の小蛇(ころち)のころちゃんこと小蛇八郎(ころちはちらう)だ。

其の背に跨(まか)がるのは走火のお愛(はしりびのおかな)こと大蛇愛(をろちあい)と大蛇八郎(をろちはちらう)の姉弟、天女の燭台(しょくだい)を点(とも)してゐたのはお愛の放つ跳火(はねび)だったのだ。

ぐるぐると、巻き付くやうに灯台を登る小蛇八郎。

「頼んだよ!」

「合点承知(がってんしょうち)!」

お愛の合図でぴょんと灯室(とうしつ)に跳(と)び込んだ大蛇八郎、蓮権現転何(はちすごんげんころびなんぞ)に渡されてゐた蓮宝珠(はちすだま)をえいと光源(くわうげん)に投げ入れた。

銀漢(ぎんかん)の灯台を中心にして波紋(はもん)のやうに灯光(とうくわう)が広がってゆくと、銀河の大海原(おほうなばら)が落ち込む宏大(くわうだい)な円形瀑布(ゑんけいばくふ)が現れた。

天の川銀河の中心部ブラックホール、天球大神宮(てんきうだいじんぐう)。

遍(あまね)く命の故郷だ。

しかし、彼等(腐れ眼弾丸塊)が最期に観たものは一羽の女梟(めふくろふ)、否、お冥(おみゃう・兇冥きよみ)の姿であった。

さらば!邪悪原人(じゃあくげんじん)!
さらば!梟鏡族(けうきゃうぞく)!

はて、羽を広げたお冥が今、子梟(こふくろふ)を産んだ。

噫聖母お冥、梟鏡の石戸開き(いはとびらき)だ。

梟鏡族、再誕(さいたん)!

「己(おのれ)!
私(わい)の長の骨折りが水の泡ぞっ!!」

叫(わめ)く葈耳型宇宙円盤、兇興翁(きょうきょうをう)。

其の昔、梟鏡族を兇興幻術(きょうきょうげんじゅつ)で呑み込み邪悪原人なる傀儡(くわいらい)を生み出した張本人(ちゃうほんにん)は兇興大明神(きょうきょうだいみゃうじん)だったのである。

古来、祝詞(のりと)にもあるやうに女は全て母であり男は全て子である。

父の出現には、常の理(とはのことわり)たる三つ子の魂の精神が育まれねばならない。

其の間隙(かんげき)を衝(つ)くことが、兇興翁の奸計(かんけい)であった。


【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】

いちよあれかし、さいはひよいち。

まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!

つづく。