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峠杣一日・著
「ええい!
邪魔をするでないいっ!!」
兇興宇宙円盤(きょうきょううちうゑんばん)が、狂ふたやうに葈耳誘導弾(をなもみミサイル)を連射する。
砲撃目標(はうげきもくへう)は、常磐祝詞(とこいはののりと)を唱へてゐる竃火平霊太子(へひへひたいし・竃門太子かまどたいし)だ。
「邪魔はどっちだ!」
葈耳誘導弾の前に躍(をど)り出たのは、大根島八手彦(だいこんじまやつでひこ)の機関摩天楼(からくりまてんろう)八手(タコ)である。
強力な扇風機(せんぷうき)に摩天変形(まてんへんけい)して、葈耳誘導弾を蹴散(けち)らかす。
おっと、何時(いつ)の間(ま)にか兇興宇宙円盤には江島千両姫(えしませんりゃうひめ)の機関摩天楼百足(ムカデ)が巻き付いて動きを封(ふう)じてゐる。
「ぢゃあ、御機嫌(ごきげん)よう」
するりのぱっと百足が離れた所に、跳(は)ね返って来た葈耳誘導弾が雨霰(あめあられ)。
「ぽぎゃあああああっっ!!!」
焰星(ほのほぼし・火星)よりも赤々と燃え上がりながら、衛星(ゑいせい)フォボスへと落下して行(ゆ)く葈耳型宇宙円盤(をなもみがたうちうゑんばん)。
さて、邪悪頑闇梟鏡兄弟(じゃあくがんあんけうきゃうきゃうだい)の梟焰砲(けうえんはう)が、立ち塞(ふさ)がる竃火平霊太子ごと地球を打ち砕(くだ)かんと砲口(はうこう)の喙(くちばし)を開き切った。
と同時に、太子も祝詞言(のりとごと)を上(あ)げ終へた。
時空(じくう)をも拉(ひしゃ)げん許(ばか)りの閃光(せんくわう)が、スローモーションの如(ごと)くに展(ひら)いて行く。
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
いちよあれかし、さいはひよいち。
まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!
つづく。