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峠杣一日・著
さあ大変だ。
梟鏡兄弟(けうきゃうきゃうだい)の頑闇念々(がんあんねんねん)に呑(の)み込まれ、梟焰砲(けうえんはう)と化した焰星(ほのほぼし・火星)。
やや、その眼前(がんぜん)に颯爽(さっさう)と躍(をど)り出た黒い飛行体。
その正体や何者ぞ。
〽️
黒駒(くろこま)の
天馬(てんば)に乗って やって来る
常(とは・永久)の申し子(まうしご)
竃火平霊太子(へひへひたいし)
常の理(とはのことわり) 現し世(うつしよ)を
導(みちび)く 僕等の 魂ぞ
やあ、聞こえて来ましたこの歌は。
筑前国(ちくぜんのくに)の、竃火平霊太子(へひへひたいし・竃門太子かまどたいし)の登場だ。
鎧武者(よろひむしゃ)の恰好(かっかう)で、愛馬(あいば)の黒駒月天馬(ぐわってんば)に跨(また)がってゐる。
新年会で沖柱博士(ちゅうちゅうはかせ)から贈(おく)られた、あの甲冑(かっちう)である。
おっと、竃火平霊太子が両手で掲(かか)げたるは金色眩(こんじきまぶ)しい紙垂(しで)を束(たば)ねた大麻(おほぬさ・大幣・祓串はらひぐし)。
黄金寿老人(わうごんじゅらうじん・心星大明神しんせいだいみゃうじん)と共にこの日の来る事を予見(よけん)してゐた竃火平霊太子が、あの日沖柱博士に依頼(いらい)して帰ったものこそ、この大麻(おほぬさ)だったのだ。
「間に合ふたか!
然(さ)れば行(ゆ)くぞっ!!」
博士の出来立て秋の新作を捧(ささ)げつつ、太子は常磐祝詞(とこいはののりと)を唱へるのであります。
果たして地球の、否(いな)、宇宙の命運(めいうん)や如何(いか)に。
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
いちよあれかし、さいはひよいち。
まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!
つづく。