『なんぞころびやおき 天球旅情篇』(38) | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


『なんぞころびやおき 天球旅情篇』

(38)

峠杣一日・著

どかんどかんと、兇闇(きょうあん)の梟鏡舟(けうきゃうぶね)を砲撃(はうげき)し続ける梟磐(ふくろふいは)。

土烟(つちけぶり)を上げながら翼を開くと、焰星(ほのほぼし・火星)の赤い大地を蹴(け)って飛び上がった。

「兇闇!
態々(わざわざ)こんなところまで何用(なによう)だ?!
この俺の不様(ぶざま)な姿を嗤(わら)ひに来たのか?!
ほっ?!」

声を発した梟磐。

それは兇闇の双子(ふたご)の兄、兇頑(きょうがん)であった。

昔々兇頑は地球人類のあまりの阿呆(あはう)っぷりに嫌氣(いやけ)が差し、こりゃあ付き合ひ切れんと新天地を求めて宇宙へ旅立った。

されど、そこは不毛(ふもう)の荒野(くわうや)であった。

力尽きてゆく仲間達、その邪悪魂(じゃあくだましひ)を喰(く)らひつつも旅を続けたが、遂(つひ)には彼ひとりだけが残り焰星の大地に落下。

残念無念の邪悪魂の塊(かたまり)はいつしか巨大な巌(いはほ)、梟鏡磐(けうきゃういは)となって生きてゐたのである。

「ちょっ!
たんまたんま!
兇頑様たんまっ!!」

黒烟(こくえん)に捲(ま)かれる梟鏡舟、帆柱(ほばしら)を上(のぼ)った兇蔵(きょうざう)が帆桁(ほげた)に必死にしがみ付きながら叫ぶが、梟鏡磐の砲撃は止(や)まない。

「小馬鹿廻(こばかまは)しに来たんかコラ?!
ほっ?!」

どんどんどーん!!!

「もはや、もはや兇頑様は迷妄念々(めいまうねんねん)そのものと化(くわ)して御座(ほざ)らう。
斯(か)くなる上は!」

兇然法師(きょうねんほふし)が、不規則(ふきそく)に早鐘(はやがね)を打つやうに鼓動明滅(こどうめいめつ)し苦悶(くもん)する兇闇の腐眼弾丸(くされめだま・邪悪魂)に進言(しんげん)する。

「ふほううう!!
兄者(あにぢゃ)よーっ!
さらばぢゃああああっ!!!」

爆沈寸前(ばくちんすんぜん)の梟鏡舟がくるりと反転、砕(くだ)け散りながらも梟鏡磐へと一直線に真っ正面から突撃してゆく。


【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】

いちよあれかし、さいはひよいち。

まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!

つづく。