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峠杣一日・著
ふほう?!
宇宙空間に浮かぶ兇闇(きょうあん)の梟鏡大変化(けうきゃうだいへんげ)、その名も梟鏡舟(けうきゃうぶね)。
「おお、焰星(ほのほぼし)まで来たか」
兇闇が夢から醒(さ)めると、目の前には火星(くわせい・焰星)が見えてゐる。
「兇闇様、何やら船内に楽し氣(げ)な鼻唄(はなうた)など聞こえてをりましたが、如何(いか)な事でありませうや」
兇蔵(きょうざう)が、船長席に浮かぶ兇闇の邪悪魂(じゃあくだましひ)に向かって問ひ掛ける。
それはどす黒く禍々(まがまが)しい腐眼弾丸(くされめだま)の姿をしてゐた。
「ふほう、愚(おろ)かしい腐れ人類めが、この天球(てんきう)世界諸共(もろとも)に滅尽(めつじん)する夢を結んだのぞ」
「何と!
それこそは正夢(まさゆめ)に相違(さうゐ)無く、実(じつ)に目出度(めでた)き事にて御座候(ほざさうら)ふ」
「然(しか)り!
有(あ)るべかし!」
兇然法師(きょうねんほふし)と兇興翁(きょうきょうをう)のよいしょよいしょ。
然(さ)う斯(か)うしてゐる内に、梟鏡舟は火星へと降下(かうか)して行く。
やや、赤い大地の一画(いっくわく)に梟(ふくろふ)の形をした巨(おほ)きな磐(いは)がある。
と、梟磐(ふくろふいは)の喙(くちばし)が開いて巨砲(きょはう)が出現。
どかんと梟鏡舟を砲撃(はうげき)した。
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
いちよあれかし、さいはひよいち。
まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!
つづく。