『なんぞころびやおき 天球旅情篇』(32) | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


『なんぞころびやおき 天球旅情篇』

(32)

峠杣一日・著

「ぷぷぽほう!」

海上に生えた梟鏡サボテン(けうきゃうサボテン)がぱっと兇闇(きょうあん)の姿に戻ると、鎮火頭頂部(ちんくわとうちゃうぶ)に残烟(ざんえん)を引きながら立ち泳ぎをしてゐる。

「見つけた!
彼処(あそこ)!」

操縦席から身を乗り出した江島千両姫(えしませんりゃうひめ)、通称(つうしょう)百足のお両(むかでのおりゃう)が、兇闇を指差す。

「おう!
でも、何か変ぢゃないか?」

大根島八手彦(だいこんじまやつでひこ)も出て来て八手ブーメラン(やつでブーメラン)を投げたところ、兇闇は幾多(いくた)の藁(わら)となって波間(なみま)に散った。

「む、やはり脱け殻(ぬけがら)か。
まだ其処(そこ)いらに居(を)る筈(はず)。
手分けして捜(さが)すぞ!」

白鷲天狗圓彦(しろわしてんぐまどひこ)も操縦席から出て、辺りを見廻(みまは)す。

「あ!」

東郷池(とうがういけ)の野天風呂(やてんぶろ)、お冥(おみゃう・兇冥きよみ)が突然声を帆(ほ)に上げて立ち上がった。

夜眼(よめ)が利(き)くお冥には、遠眼(とほめ)にもはっきりと圓彦が見えてゐたのだ。

やっと見付けたわと思ふも束の間(つかのま)、三機の機関摩天楼(からくりまてんろう)は兇闇を追って飛び去ってしまった。

またその頃、池の底には琥珀丸(こはくまる)が沈んでゐた。

宵闇(よひやみ)の湯烟(ゆけぶり)に仄(ほの)めく眩(まぶ)しいお冥の裸身(らしん)に打たれ、心の臓(しんのざう)が法悦(ほふえつ)の微睡(まどろ)みに浸(ひた)っちゃったのである。


【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】

いちよあれかし、さいはひよいち。

まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!

つづく。