(25)
峠杣一日・著
あれ以来、お冥(おみゃう・兇冥きよみ)は行く方(ゆくかた)知れずである。
「もう、厭(や)ぞよ」
兇闇皇帝(きょうあんくわうてい)は何もかもに厭氣(いやけ)が差して、髑髏印(どくろじるし)の点滅器(スイッチ)を押した。
梟鏡教(けうきゃうけう)のアジト、大爆発。
水柱と黒烟(こくえん)の中から飛び立つ巨大な影は、全長おほよそ25里(100㎞)にも及ぶ藁人形(わらにんぎゃう)。
超邪悪魂(てうじゃあくだましひ)迸(ほとばし)る、兇闇の大変化(だいへんげ)だ。
その全身には無数の邪眼(じゃがん)のどす黒い渦巻(うづま)きを絡(まと)ってゐる。
藁人形の出現地点は、鳥取大砂丘(とっとりだいさきう)沖(おき)の海中であった。
両手(もろて)を拡げた俯(うつぶ)せ体勢のまま転進(てんしん)する藁人形、頭部を島根半島(しまねはんたう)の方角へと向けた。
頭頂が円形に開くと、どす黒くも眩(まぶ)しく皎々(かうかう)と光る。
「ふほう!
梟鏡灰燼(けうきゃうくわいじーん)!!」
「梟鏡梟鏡梟鏡梟鏡梟鏡梟鏡!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!………
灰燼灰燼灰燼灰燼灰燼灰燼!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!………」
兇闇に続いて、邪眼の渦から念仏三昧(ねんぶつざんまい)のやうな声が響いた。
すは、梟鏡灰燼砲(けうきゃうくわいじんはう)だ!
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
いちよあれかし、さいはひよいち。
まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!
つづく。