窓の大きな、明るい教室。
脚がぐんと伸びた高枕みたいな机と椅子、笑っちゃふ。
着席といふても膝は伸びたまんまだし、教科書も置けないよ。
何と、ぼっとんトイレだ。
股間の幅が広く、深さも屋上レベル。
思はず目眩、頭から落下しさうなスリル。
担任の底抜けに明るい女先生に「傘が無いならこれを使って」と、山吹色に赤文字で学校名が入った傘を渡される(なかなかかっこ好い傘なのだ)。
授業で外へ出るのかな。
だが持参のビニール傘が傘立てにあるのだ………誰かに持ち去られて無いのだ。
校内の喫茶スペースで、先生達が楽しさうに談笑してゐる。
布袋法師体型のオバサン先生、ソファにめり込み乍らばうんばうん弾んで呵々大笑。
教室に帰ると、授業が始まってゐて焦る。
敢へて堂々とゆっくり歩き着席、後ろの席の女子衆が指を差して無言で笑ふてゐる。
女先生が黒板に何やら書きつつ元氣一杯に話してゐるが、さっぱり以てちんのぷんかんのぷん。
さうなのだ。
授業とは清々しいほどに理解不能、かういふものであったなあと思ひ出す。
「そもそも何で又高校に通ふてをるのだったかなあ」と疑問が湧き、至極阿呆らしくなり初日にして退学を決心。
花壇のある校門を出たが、見知らぬ田園風景。
道路は右か左の二択、はて帰り道はどちらかしらんと苦笑ひ。
此処で目覚めて、何ぢゃらのぽい。
おしまひ。