(22)
峠杣一日・著
「超(てう)!
梟鏡殺法(けうきゃうさっぱふ)!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
増殖(ぞうしょく)した兇蔵(きょうざう)と其(そ)の兇刃(きょうじん)が、経法印(きゃうほふいん)達に襲(おそ)ひ掛かる。
と、突如(とつじょ)捲(ま)き起こった旋風(つむじかぜ)。
群(む)れなす兇蔵を一網打尽(いちまうだじん)、片っ端から呑み込んで宙(ちう)へ吹き飛ばすのであった。
風圧に拉(ひしゃ)げる邪眼兇蔵(じゃがんきょうざう)の群れが、邪悪兇蔵を護りつつ其の影に吸ひ込まれて消えた。
「ほおおう、一体何ぢゃあ!」
不屈(ふくつ)の邪悪魂(じゃあくだましひ)で踏ん張り、構へ直す兇蔵。
はて、辺りが急に暗くなったぞ。
何かの影に入ったらしい。
おお、上空に浮かぶ巨大な白い羽団扇(はうちは)。
白鷲天狗(しろわしてんぐ)圓彦(まどひこ)の新造機関摩天楼(しんざうからくりまてんろう)・圓天狗號(つぶらてんぐがう)だ。
先刻(せんこく)の旋風は圓天狗號の必殺技・飄打(つむじうち)であった。
「お頭(おかしら)!」
素面(すめん)の圓彦が、蓮権現転何(はちすごんげんころびなんぞ)と共に雲に乗って降りて来た。
蓮権現の連絡を受けて、息瑤ノ山斎(おきたまのしま・隠岐国)から圓天狗號の試運転を兼ねて飛んで来たのである。
「ほっ!
又(また)も己(うぬ)か!
此(こ)の阿呆鳥(あはうどり)めが!
何ぢゃこりゃ?!
正義の見方が卑怯(ひけふ)ぢゃろが!」
「黙(だま)れ!
社会の屑(くづ)が!」
「ぽーっ!!」
わなわなと震(ふる)へる兇蔵。
そんな状況(じゃうきゃう)を鋭(するど)い眼光(がんくわう)で眺めてゐたお冥(おみゃう・兇冥きよみ)であったが、
「うああっ!」
突然、苦しさうに胸を押さへて頽(くづほ)れ倒れた。
「南無迷妄念々(なむめいまうねんねん)!」
驚いた兇然法師(きょうねんほふし)が機転(きてん)を利(き)かせて、邪眼の煙幕(えんまく)を起こした。
煙(けぶり)の後、梟鏡一味(けうきゃういちみ)の姿は無かった。
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
いちよあれかし、さいはひよいち。
まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!
つづく。