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峠杣一日・著
「ぢゃあ、皆(みんな)の心に大黒柱(だいこくばしら)を立てよう。
其れには常(とは・永久)の言の葉(ことのは)、言霊(ことだま)が要(い)るよ」
と言って経法印(きゃうほふいん)、錫杖(しゃくぢゃう)の尻で地面に「辛」(しん)の文字を刻(きざ)んだ。
「辛と云(い)ふのはね、命の活動を刻み認(したた)める神器(しんき)だよ。
まあ、刀(かたな)と思っても筆(ふで)と思っても好(い)いね。
で、神器(辛)のあり所(口)が言(こと)なんだ。
口に出せば言の葉になるし、行(おこな)ひに現せば事(こと)(仕事・祭事)となるよ。
だから神器(辛)で常の理(とはのことわり・一いち)を表現して行くことを、幸ひ(さいはひ)と呼ぶよ。
また言が常の理(一)を宿してゐる姿、幸ひのあり所を、音(おと)と呼ぶんだ。
私達一人ひとり皆の心に奏(かな)で(舞ふ)られて
ゐる音こそが、命の意(おもひ)だね。
辛×口=言
辛×一=幸
言×一=音
幸×口=音
音×心=意
命は令(命の御言宣みことのり)のあり所(口)、即(すなは)ち意の霊(いのち)なんだよ。
所謂(いはゆる)潜在意識(せんざいいしき)ってのは、此の意(おもひ)のことなんだ。
意(おもひ)を識(し)る(意識)事で言霊が生まれるし、心の大黒柱を立てる事も出来るんだね」
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
いちよあれかし、さいはひよいち。
まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!
つづく。