(47・最終回)
峠杣一日・著
黄金大黒天(わうごんだいこくてん)がとうとうと打出の小槌(うちでのこづち)の神様叶槌大明神(かのつちだいみゃうじん)を振ると、ぽぽっと金色(こんじき)、光の玉が飛び出した。
ついと上昇した光を黄金宝船(くがねのたからぶね)の龍神(りゅうじん)がごくりと呑み込むと、宝船全体が眩(まばゆ)いばかりの金色(こんじき)、黄金勾玉(くがねのまがたま)の姿に変はった。
全長凡(おほよそ)十七里(じふしちり・約67㎞)にも及ぶ黄金勾玉(くがねのまがたま)、此(こ)れぞ島根半島(しまねはんたう)の神髄(しんずい・本質)、世一七福勾玉宝船(よいちしちふくまがたまたからぶね)である。
一瞬間(いっしゅんかん)、勾玉宝船が虹色(にじいろ)に耀(かがや)くと、其(そ)の光が球状(きうじゃう)に拡(ひろ)がって真根宇宙(さねうちう・核宇宙)に揺(ゆ)らぎ渡った。
現世(げんせ)と繫(つな)がる石門(せきもん)の全てに、月虹(げっこう)の結界(けっかい)が張(は)られたのだ。
此れで二度と再び、邪悪原人(じゃあくげんじん)が真根宇宙(核宇宙)に潜(もぐ)り込む事は無い。
邪悪原人の企(たくら)み、然(さ)うは烏賊の金玉(いかのきんたま)だ。
ありがたう、瑤野椎八姉妹(たまのづちはちしまい)。
ありがたう、黄金大黒天。
ありがたう、世一七福勾玉宝船。
そして私達一人ひとりの意(おもひ)も、常の命(とはのいのち)に通じたに相違無(さうゐな)い。
其の日、息瑤ノ山斎(おきたまのしま・隠岐諸島・御魂ケ島)全体から螺旋状(らせんじゃう)に立ち上(のぼ)る金色(こんじき)の光を、地球の外、宇宙空間から眺める者があった。
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
いちよあれかし、さいはひよいち。
まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!
第四部 『御魂ケ島篇』をはり。
第五部 『天球旅情篇』(てんきうりょじゃうへん)につづく。