『なんぞころびやおき 御魂ケ島篇』
⑰
峠杣一日・著
「む、貴女(あなた)は確か拳骨夫人(げんこつふじん)。
然(さ)りとて、此方(こちら)の問題に横槍(よこやり)を入(い)れんで下され」
白鷲(しろわし)つぶら天狗の圓彦(まどひこ)が言ふと、機関摩天楼(からくりまてんろう)純白の羽団扇(はうちは)の羽の先端のひとつに鉤爪誘導弾(かぎづめミサイル)が現れ、紅(くれなゐ)の河童の円盤に狙ひを定める。
と、次の瞬間。
「ふーーんっ!」
篦太い(野太い)掛け声と共に、燻し銀(いぶしぎん)の巨大な金棒(かなぼう)が飛来(ひらい)。
直撃で柄(え)の部分が拉(ひしゃ)げた羽団扇は、派手な水柱(みづばしら)を立てて海中に沈んで行くのであった。
「あんた、鳥渡(ちょっと)遣(や)り過ぎよ」
「いや、魔凜が心配だったから」
「ふふん、ぢゃ、いいよ」
おお、大空に浮かび河童の円盤と並び立つ燻し銀の金棒、其の先端に姿を現したのは伯耆国(はうきのくに)の鬼、鬼拳骨(おにげんこつ)である。
さうだ、あの河童娘の烈女(れつぢょ)尻子田魔凜(しりこだまりん)は其(そ)の後(のち)目出度(めでた)く拳骨と結ばれ、今は拳骨夫人、鬼魔凜(おにまりん)となってゐるのであった。
![190306_191448.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20190306/19/cocochiyosa/40/a0/j/t02200165_4128309614367402260.jpg?caw=800)
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
「いちよあれかし、さいはひよいち。
まほらよいちそはか!
南無(なむ)、あれかし大明神!」
つゞく。