『なんぞころびやおき 大極楽本尊郷篇』(28) | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


『なんぞころびやおき 大極楽本尊郷篇』

(28)

峠杣一日・著

「最早此れ迄」

「死なば諸共(もろとも)」

「道連れぢゃっ!」

蓮華神輿(れんげみこし)に揺(ゆ)られる迷妄念々(めいまうねんゝゝ)が、最後の切り札を出した。

自爆(じばく)!!

閃光(せんくわう)と砂塵(さぢん)が、爆風に乗って賽の河原(さいのかはら)を走った。

後(のち)、静寂(せいじゃく)。

やがて視界が回復すると、蓮華神輿(れんげみこし)の蓮台(れんだい)部分だけがぽつりと残ってゐるのが見えた。

其の周りには、業火の烏天狗(ごふくわのからすてんぐ)、三途の川子(さんづのかはこ)、賽塊の鬼(さいころのおに)、また骨肉一家(こつにくいっか)の屍(しかばね)が、折り重なって横たはってゐる。

おっと、あれは蓮権現転何(はちすごんげんころびなんぞ)と姉のお風(おふう・転風子コロビフウコ)。

冥界(めいかい)の住人達が楯になって守ったのだ。

其処へ一日翁(いちにちをう)、螢火のお総(ほたるびのおふさ)、来迎(らいかう)、一目(かずま)、一枝(ひとえ)、三葉(みつば)、鬼燈(ほゝづき)、豆鼕翁(とうゝゝをう)、胡蘆駒福兵衛(ころこまのふくべゑ)、児瑤大蛇(このたまをろち)の小蛇八郎(ころちはちらう)と小蛇娘(ころちむすめ)のお嶺(おみね)も集まって来た。

迴門號(くわいもんがう)は大破(たいは)したものゝ、皆無事であった。

さて、彼等が恐(おそ)るおそる蓮台(れんだい)を覗(のぞ)き込むと…。

何ともしぶとく、迷妄念々(めいまうねんゝゝ)はちろゝゝと残り火の如く燃えてゐるのだった。

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つゞく。