『なんぞころびやおき 大極楽本尊郷篇』(23) | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


『なんぞころびやおき 大極楽本尊郷篇』

(23)

峠杣一日・著

見よ、今、全てを消し去る死滅(しめつ)の巨砲(きょはう)、迷妄灰燼砲(めいまうくわいじんはう)が火を吹く。

しかし!古人(こじん)の教へにある様に、仮令(たとへ)九分九厘(くぶくりん)駄目でも残りの一厘(いちりん)に一縷(いちる)の望みを懸(か)ける信条(しんでう)を忘れてはならない。

命があるまゝで諦めて了(しま)ふ事は、迷ひの大蛇(まよひのをろち)の思ふ壺(おもふつぼ)なのだ。

あゝ、以千代安礼賀志、いちよあれかし。

其れ、迷妄灰燼砲(めいまうくわいじんはう)発射寸前の砲口(はうこう)に、ころゝゝゝゝりと氷塊(ひょうくわい)が放り込まれた。

たゞの氷ではない、月虹の氷(げっこうのこほり)である。

「ぎゃあゝゝっ!!」

断末魔(だんまつま)のゝたうち、迷妄灰燼砲(めいまうくわいじんはう)は内部から月虹(げっこう)の水蒸氣(すいじょうき)に包み込まれて消滅(せうめつ)して行く。

おゝ、大空に浮かんでゐるのは二機の起き上がり小法師(おきあがりこぼし)の乗り物。

月虹防壁(げっこうバリアー)を張ってゐた時の迴門號(くわいもんがう)、胡蘆駒福兵衛(ころこまのふくべゑ)が万が一(まんがいち)の為にと同時進行で急ぎ拵(こしら)へた月虹の氷(げっこうのこほり)を、蓮権現転何(はちすごんげんころびなんぞ)と姉のお風(おふう・転風子コロビフウコ)が起き上がり小法師の乗り物で運び出してゐたのだ。

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つゞく。