『なんぞころびやおき 大極楽本尊郷篇』
(24)
峠杣一日・著
「不倒変化(ふたうへんげ)!」
「意座(いざ)、蓮華神輿(れんげみこし)!」
蓮権現転何(はちすごんげんころびなんぞ)と姉のお風(おふう・転風子コロビフウコ)が操(あやつ)る二機の起き上がり小法師(おきあがりこぼし)の乗り物が変形して合体、蓮の台(はちすのうてな)を模(も)した御神輿(おみこし)となった。
そして空中で消滅した迷妄灰燼砲(めいまうくわいじんはう)、其処からぼとゝゝと何かゞ神輿の蓮台(れんだい)の上に落ちて来た。
迷妄灰燼砲(めいまうくわいじんはう)を具現(ぐげん)してゐた、迷ひの念(ねん)である。
其の妄念(まうねん)、最早(もはや)虫の息(むしのいき)にも這(は)ひずって蓮台(れんだい)から逃れんとするも、ぴくり、金縛(かなしば)りにあった様に動きを止めた。
すうっと神輿が賽の河原(さいのかはら)の一画(いっくわく)に降下(かうか)した時、其処には円陣(ゑんぢん)を組んだ骨肉一家(こつにくいっか)が待ち構へてゐた。
迷妄念々(めいまうねんゝゝ)を乗せた蓮華神輿(れんげみこし)は、骨肉一家(こつにくいっか)其れぞれの眼鏡(めがね)、万華鏡(まんげきゃう)、虫眼鏡(むしめがね)、遠眼鏡(とほめがね)などが月虹(げっこう)の光線を出して作った結界(けっかい)の中へ降りて来たのであった。
つゞく。