『なんぞころびやおき 大極楽本尊郷篇』
⑭
峠杣一日・著
迷妄宝船(めいまうたからぶね)と一体化した迷ひの大蛇(まよひのをろち)、其の八つの鎌首(かまくび)が鼻を効(き)かせながら骨肉小屋(こつにくごや)の物見櫓(ものみやぐら)を覗き込む。
「ほう、此れはゝゝゝ」
「おう、あの時の小童(こわっぱ)共ではないか」
「まあ、此処で会ったが百年目」
「おほゝ、今度はあんた達が死ぬ番さっ!死ねっ!」
何と此の迷ひの大蛇(まよひのをろち)、達磨嶋毛助(だるまじまのけすけ)に取り憑(つ)いて神山(かみやま)に現れた怨念(をんねん)であった。
八つの口から一斉(いっせい)に、物見櫓(ものみやぐら)目掛けて迷妄爆弾否800(めいまうばくだんいなはっぴゃく)が吐き出された!
…かと思はれたが、突然大きく傾いた迷妄宝船(めいまうたからぶね)は自(みづか)らが放ち掛かった迷妄爆弾(否800)と共に転覆(てんぷく)する様に三途の川(さんづのかは)へと落下、黒々と爆発の水柱が天を衝(つ)いた。
氣転(きてん)ん効(き)かせた胡蘆駒福兵衛(ころこまのふくべゑ)が、迴門號(くわいもんがう)で迷妄宝船(めいまうたからぶね)に体当たりしたのであった。
つゞく。