『なんぞころびやおき 女神御前篇』⑳ | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


『なんぞころびやおき 女神御前篇』



峠杣一日・著

其の頃、あれかし山(あれかしやま)の峠杣屋敷(たうげそまやしき)。

地下座敷牢(ちかざしきらう)の中で鼻の下を伸ばしたまゝ端座(たんざ・正座セイザ)する、一日翁(いちにちをう)と余一(よいち)親子の姿があった。

牢(らう)の格子(かうし)の外には、一日翁(いちにちをう)の妻で余一(よいち)の母である螢火のお総(ほたるびのおふさ)が、澹々(たんゝゝ)と木太刀(きだち・木刀ボクタウ)を振ってゐる。

恰(あたか)も舞ふかの如く優雅(いうが)に振るふ太刀筋(たちすぢ)、然(さ)れど其れは木太刀(きだち)で空氣を操(あやつ)る螢火のお総(ほたるびのおふさ)必殺の剣術(けんじゅつ)であった。

忽(たちま)ち地下空間に疾風(はやて)が吹き荒れ、渦巻(うづま)きとなって座敷牢ごと二人を呑み込む。

「いつまでも、のぼせてんぢゃあないわよっ!」

今、唸(うな)る大風(おほかぜ)が鉄拳となって座敷牢に叩き込まれんとしてゐた。

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つゞく。