『なんぞころびやおき 女神御前篇』⑨ | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


『なんぞころびやおき 女神御前篇』



峠杣一日・著

達磨嶋毛助(だるまじまのけすけ)を乗せて、臨時列車が木次駅(きすきえき)を動き出した。

はて、プラットホームから車窓の中を見た時には、沢山の乗車客と、確かにもう一人の毛助(けすけ)の姿があったのだ。

しかし、車内には毛助(けすけ)だけが、ぽつねんと立ち尽くすのであった。

「御乗車、有り難う御座います。
乗車切符を、拝見いたします」

何時(いつ)の間にか、毛助(けすけ)の目の前にふはりと車掌(しゃゝゝう)が立ってゐた。

恐るおそる乗車切符を差し出すと、車掌の瞳の中に浮かぶ灯火(ともしび)に切符が映(うつ)る。

「やあ、お見送りですか。
まことに、おめでたうございます」

毛助(けすけ)が乗車切符を受け取った時、列車はトンネルに差し掛かった。

すると、車掌の姿は忽然(こつねん)と消えてをり、俄(にはか)に沢山の人の氣配が立ち籠めて来るのであった。

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つゞく。