『なんぞころびやおき』(60) | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


『なんぞころびやおき』

(60)

峠杣一日・著

無数の錫杖(しゃくぢゃう)で身動きを封(ふう)じられた迷ひの大蛇(まよひのをろち)だが、不敵(ふてき)な面構(つらがま)へでちろゝゝと舌だけを動かしてゐる。

一人の烏天狗が、仕込み錫杖からすっと刀身を閃(ひらめ)かせて近づいて来る。

神山烏天狗(かみやまからすてんぐ)の頭(かしら)、山刀斎(さんたうさい)である。

「ばかめ。
我等を斬れば、此のもじゃゝゝゝ野郎も死ぬ事となるぞ」

「さうよ、死ぬわよ。
あれえ、此の人殺し!」

「さうぢゃ、殺人鬼ぢゃ。
こりゃ見物(みもの)ぢゃわい」

大口を開けて、げたゝゝと嗤(わら)ふ迷ひの大蛇(まよひのをろち)。

「笑止(せうし)!!」

山刀斎(さんたうさい)裂帛(れっぱく)の氣合(きあ)ひが、時間も空間も一刀両断(いったうりゃうだん)!

まるで、世の全てが停止したかとも感じられた其の時!

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つゞく。