『なんぞころびやおき』(59) | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


『なんぞころびやおき』

(59)

峠杣一日・著

滑々(ぬめゝゝ)と迷ひの大蛇(まよひのをろち)の首が溶け落ちる如くに分裂し、鎌首(かまくび)が増えて行く。

「人間の氣力など、高(たか)が知れてをる」

「所詮(しょせん)、愚かな虫螻(むしけら)に過ぎぬ己(おのれ)を思ひ知るがいゝわ」

「さあゝゝ最早(もはや)時間の問題、一巻の終はりよ」

舌舐めづりしながら毛助(けすけ)に囁(さゝや)く迷ひの大蛇(まよひのをろち)、くっゝゝと嘲笑(あざわら)ふ声が重苦しく響く。

実(まこと)に、残念。

「世(よ)の、見納めが此れか…」

血涙(けつるい)も涸れ、意識が薄れて行く毛助(けすけ)。

已(や)む無し、と烏天狗(からすてんぐ)の一団が一斉(いっせい)に仕掛けむと大地に降り立った。

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つゞく。